■ かぜ症候群(急性上気道炎)
 かぜ症候群は鼻腔・咽頭・喉頭・扁桃など上気道に急性炎症をきたしてくる疾患で、その90%以上がウイルス感染症です。ウイルス性のかぜ症候群はうがいと手洗いが予防の重要な基本です。
東京薬科大学薬学部 加藤哲太


 鼻や口から肺へ送る空気の通り道を「気道」といいます。そのうち鼻腔から咽頭・喉頭までの部分が上気道で、この部分に起こる炎症性の病気を「急性上気道炎」と言います。鼻炎、扁桃炎、咽頭炎、喉頭炎、咽喉頭炎などが含まれますが、その大部分が「かぜ症候群」(かぜ、感冒)です。

出典:薬学生、薬剤師のための”知っておきたい病気”100  日本薬学会編(化学同人)


症状

「かぜ症候群」では、鼻閉、鼻水、くしゃみ、微熱、咽頭発赤、咽頭痛、咳などの症状が現れます。通常、一年に3〜4回、「かぜ症候群」に罹患するといわれています。一般的に発熱は38℃以下で、症状は1週間以内で自然に治癒します。
  1. 鼻症状:鼻づまり(鼻閉)、鼻水(鼻汁)、くしゃみ
  2. のど症状:咳、痰、咽頭周辺の腫れや痛み、声がれ
  3. 発 熱:微熱(多くは38℃以下)
  4. 全身症状:悪寒、倦怠感や関節痛、脱力感など
  5. その他:頭痛、腰痛、胃腸症状(下痢、軟便など)
原因

 「かぜ症候群」の90%以上がウイルス感染症です。その約半数はライノウイルスとコロナウイルスによる感染症ですが、アデノウイルスなど、小児に多いウイルス感染症もあります。一方、溶連菌など細菌感染が原因で起こるものもあります。この場合は、一般に鼻症状に加えて、のど(咽頭炎)や耳(中耳炎)の症状が強くなる傾向があり、気管支炎や肺炎などを併発しやすいため警戒が必要です。

治療

 ウイルス病である「かぜ症候群」に対して、原因ウイルス全てに効果のある薬はまだありません。
したがって、「“風邪を引きはじめたな”と感じたときは、けっして無理をせず、室内の保温・保湿、水分補給に気を つけながら、十分な@休養+A睡眠+B栄養を取る」の3原則を守ることが肝要です。  症状を和らげる対症療法の薬として、解熱鎮痛剤、抗炎症剤、鎮咳剤、去痰剤、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などが用いられ、細菌による二次感染と重症化を防ぐ必要がある時には抗生物質を内服する場合もあります。


予防

○うがい、乾布まさつ、日光浴などによって皮膚や粘膜を鍛えることが有用です。
○手洗いを心がけてください。また家族が罹患しているときは、その衣類やシーツなどをこまめに洗濯して、ウイルスや細菌の接触による感染を絶つことも大切です。
○マスクをしてください。これは感染している人が他人にうつさないための社会的マナーだと考えてください。
○喫煙者は徹底してください。

小児のかぜ症候群

 かぜ症候群は小児の日常診療において最も頻度の多い疾患(厚生労働省データ)であり、そのほとんどはウイルスが原因です。主な症状は鼻閉、鼻水、発熱、咽頭発赤、咳、食欲低下、不活発などで、基本的には成人のかぜ症候群と同じです。
 乳幼児は発熱が続いたり、嘔吐・下痢などの消化器症状があると脱水症に陥りやすく体力の低下をきたしがちです。そのため水分の補給や食事への注意が必要です。高熱、嘔吐・下痢があって脱水症となり水分補給が経口的に出来ない場合には点滴による輸液療法が必要になります。
 尚、小児科の関連学会では、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン(2004)」で、抗生物質の使用を「不要」と発表しています。


(参考資料)
小児呼吸器感染症診療ガイドライン―日本小児呼吸器疾患学会 日本小児感染症学会 (2004)
上原 すゞ子他, 小児呼吸器感染症診療ガイドライン作成委員会
発行:協和企画
「呼吸器感染症に関するガイドライン」 成人気道感染症診療の基本的考え方
松島 敏春他、日本呼吸器学会呼吸器感染症に関するガイドライン作成委員会
発行:日本呼吸器学会


かぜ症候群に関する情報

性・年齢階級別にみた主な傷病(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/02syoubyo/1-3.html
急性上気道感染症の治療ガイドライン(NPO医療と法律研究協会 医療情報部会)
http://www.ebm.jp/disease/breath/01jokido/guide.html
健康プラザ:知識と予防が大切−急性上気道炎−(日本医師会)
http://www.med.or.jp/plaza/pdf/203.pdf

(2005年12月)
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