セルフメディケーションを実践のための200テーマ

加藤哲太(セルフメディケーション推進協議会理事)

光線過敏症

2015年07月 掲載

 健康な人では問題が生じない程度の日光照射であっても、肌が露出している部分にだけ、赤みや痒みなどの異常反応が起きることがあります。この反応は日焼けとは異なる光線過敏症かもしれません。

原因

 病因には、遺伝性、代謝異常、アレルギー性など多岐にわたります。

遺伝性
色素性乾皮症 生後最初の外出時の日焼け反応が基となり、それを繰り返すうちに露出部の皮膚は乾燥し、そばかす様の小色素斑が発生。幼児期からは皮膚悪性腫瘍が発症し、難聴や歩行障害などの神経症状を合併。
代謝異常
ポルフィリン症 小児期より発症し、日光にあたると皮膚にピリピリ、チクチクした痒みがでる。長い飲酒歴の中年男性にも好発。多毛、皮膚の脆弱性、浅いびらん、小瘢痕がみられる。
アレルギー性
光接触皮膚炎 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の外用薬やサンスクリーン(日焼け止め)成分である紫外線吸収薬によることが多く、皮疹は原因物質の付着した露出部に限局。
光線過敏型薬疹 薬物内服後、露出部の広範囲に紅斑(隆起のない色調変化)が出現。
日光じん麻疹 日光照射直後から露光部にじん麻疹が出現。
原因不明
多形日光疹 光線過敏症の中で最も高頻度に発症。若い女性や光にあたる機会が少ない人に好発。皮疹は丘疹(限局性の隆起)、紫斑、複数の赤い隆起や不規則な形の赤い皮疹など多様な症状を示す。
種痘様水疱症 小児期に発症。顔面や手背に小水疱や痂皮(血液成分、膿などが乾燥し固着)ができる。

光線過敏症は太陽光にさらされた皮膚に赤みや炎症、かゆみを伴う皮疹(発疹)ができるのが特徴です。太陽光によって引き起こされる免疫システムの反応で、日光アレルギーとも呼ばれます。ある種の薬や化学物質を服用または皮膚に塗った後、光を浴びて発症する場合があります。こうした化学物質には、皮膚を紫外線に対して過敏にする作用があります。また、これらの反応は遺伝する傾向があるとされています。また、薬剤が光線過敏症の原因になる場合があり、内服薬、外用薬を問わず多くのものが知られています。光線過敏症を起こしやすい薬剤は、時代とともに変化し、近年では抗生物質、非ステロイド性消炎鎮痛薬など多くの報告があります。

  • 光線過敏症は腎臓や心臓に疾患をもっている患者さんによくみられます。その理由は、泌尿器系の治療に使われる抗生物質や高血圧治療薬、利尿薬などに含まれている化学物質が原因であることが多いと考えられています。
  • 原因の化学物質を含んでいる化粧品、オレンジ、セロリ、パセリ、ライム、レモンなどは肌に直接塗って光を浴びると症状が発生することもあります。

 下表には光線過敏症をおこす薬物の一部を掲載しました。

光線過敏症をおこしやすい薬物

分類一般名商品名
抗生物質
降圧薬
抗不整脈薬
利尿尿薬
抗精神病薬
NSAIDs外用薬
抗ヒスタミン薬
抗不安薬
抗うつ薬
抗てんかん薬
血糖降下薬
抗リウマチ薬
抗癌剤
キノロン系、テトラサイクリン系
ベシル酸アムロジピン
硫硫酸キニジン
トリクロルメチアジド
クロルプロマジン
ケトプロフェン
メキタジン
クロルジアゼポキシド
塩酸クロミプラミン
カルバマゼピン
スルホニルウレア系
メトトレキサート
フルオロウラシル
スパラ、ミノマイシン
ノルバスク
硫硫酸キニジン
フルイトラン
ウインタミン
セクター
ニポラジル
コントール
アナフラニール
テグレトール
ヘキストラスチノン
リウマトレックス
5−FU

光線過敏症を起こす光線

 太陽光線には「紫外線」「可視光線」「赤外線」が含まれています。光線過敏症を起こす光線の多くは紫外線(UV)です。UVは波長によりUV-A、UV-B、UV-Cの3種に分類され、波長が短いほどエネルギーが強く、生体に有害な影響を与えます。
 〜参考;紫外線対策については、バックナンバー「紫外線」をご覧ください〜

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長波長紫外線A波(UV-A;315〜400nm):
大気層(オゾンなど)を通過、地表に到達(太陽光の5.6%)
皮膚の深部まで届く。ガラス窓透過。シミの原因
光重合、印刷、製版等に利用

中波長紫外線B波(UV-B;280〜315nm):
多くはオゾン層で吸収、一部は地表へ到達(太陽光の0.5%)
ガラス窓は透過しない
皮膚がん、白内障、日焼けの原因

短波長紫外線C波(UV-C;200〜280nm):
オゾン層で吸収。地表に到達しない
殺菌、清浄作用

予防

 紫外線を遮断するのが必須です。紫外線総量は5月が最大ですが、特に注意すべきは真夏と言われています。日本では真夏に上空のオゾン層が減少するため、人間に影響を与える紫外線量は8月が最も多くなるからです。
 地表面や建物の反射も紫外線照射において考慮しなければなりません。紫外線反射は草地では問題にならない程度ですが、コンクリートでは約6%、砂地が15%前後、水面は10-20%、雪面では80%もの紫外線が反射されます。また、高い場所にも注意しましょう。紫外線は標高1000mにつき約13%増加し、空気の澄んでいる地域ほど多いといわれています。

日常生活に紫外線予防対策を!
 紫外線が強い10〜14時の外出を避け、長袖、帽子(全体に約7cm以上のつばがあるもの)、手袋などで物理的に光りを遮るとともに、露出している顔面、頸部、手背には日焼け止め(サンスクリーン剤)などで防御します。サンスクリーン剤はSPF50以上(UV-B防御に有効。数値が高いほど効果大)、PA3+以上(UV-A防御に有効。+が多いほど効果大)を使用します。また、サングラスはUVカット効果のあるものを使用しましょう。
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紫外線の強さは、 UVインデックスでわかります。世界保健機関(WHO)ではUV インデックスを活用した紫外線対策の実施を推奨しています。UVインデックスは世界共通の指標で、海外でもUVインデックス情報を利用し、適切な紫外線対策を行うことができます。日本国内では環境省から紫外線に関する保健指導のあり方を示した「紫外線環境保健マニュアル」が刊行されており、最新の知見を踏まえて2015年度版を改訂しました。

紫外線環境保健マニュアル2015 https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf

「紫外線環境保健マニュアル」ではUVインデックスに応じた紫外線対策の具体的な例(下図)が示されています。

UVインデックに応じた紫外線対策
UVインデックに応じた紫外線対策

 気象庁では、日々の紫外線対策を効果的に行えるように、UVインデックスを用いた紫外線情報を提供しています。UVインデックスの毎正時の分布図です。全国図の地図上で知りたい部分をクリックすると、その地方を拡大表示します。さらに、拡大図で黒丸印をクリックすると、その地域の時刻別のUVインデックスを表示します。また、紫外線情報の詳しい説明もあります。これらは、上手に活用し健康な生活をおくるうえで参考になると思われるのでご紹介します。

紫外線情報分布図:全国 http://www.jma.go.jp/jp/uv/

治療

 急性期の症状である紅斑、丘疹、水疱にはステロイド薬を外用します。症状が重度な場合にはステロイド薬の内服を併用します。痒みが著しいときには抗ヒスタミン薬の内服を併用します。

 色素性乾皮症に対しては小児科や整形外科などと連携した定期的な診療を行います。紫外線から皮膚や口唇、眼を厳重に防御し、強力なサンスクリーン剤に加え紫外線防御服などを用いて発癌抑制を目的とした遮光を行います。

光線過敏症に関する情報は下記からえられます。
 熱中予防情報サイト(環境省)
 http://www.wbgt.env.go.jp/links.php

 オゾン層・紫外線 紫外線に関する基礎知識(気象庁)
 http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-1ozone.html

 オゾン層・紫外線 さらに詳しい知識(気象庁)
 http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-2ozone.html

 皮膚科Q&A 先天性光線過敏症(日本皮膚科学会)
 https://www.dermatol.or.jp/qa/qa36/index.html

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