加藤哲太(セルフメディケーション推進協議会理事)
(2015年10月 掲載)
めまいは体のバランス機能に障害があると生じます。めまいは、耳や脳で起こった様々な病気のサインです。専門医で原因を調べてもらいましょう。
体のバランスをとる役目は耳にあります。耳の構造は、外耳、中耳、内耳から成り立ち、バランスを司っているところは内耳にある半規管です。半規管は、頭の正面、左右、上下方向の互いに直角に交わる3つの半円状の管から成り、中にはリンパ液が入っています。頭が回るとその液体が回ります。グルグル回って急に止まり、めまいがするのは慣性によって内部のリンパ液がしばらく回り続けるからです。

めまいはからだのバランスを保つ機能に障害が起こると発生します。その感じ方は「目が回る」、「ふわふわ浮くような感じがする」、「頭がクラクラする」など様々です。耳の奥にある内耳の機能障害が主な原因です。また、小脳、脳幹、視床、大脳の障害でめまいが起こることもあります。
感じ方により以下のように分類されます。
1. 回転性めまい
自分の体または大地があたかも回転しているかのような感じをいいます。激しい嘔気を感じることがあり、体のバランスを失って倒れることもあります。平衡器官に急激な変化(血流障害、炎症、内耳のむくみなど)が起きたときに生じます。耳や脳の病気でも起きます。
2. 浮動性めまい
からだがフワフワと宙に浮いたような感じ、雲の上を歩いているような感じをいいます。回転性めまいの回復期や脳幹、小脳の異常などで生じることがあります。
3. 立ちくらみ(眼前暗黒感)
立ち上がった瞬間にクラクラッとしたり、長く立っていて目の前が暗くなる感じのことをいいます。ふだん低血圧ぎみの人もなりやすいです。最も注意しなければならないのは、高血圧症や脳動脈硬化症のある人です。
1. 良性発作性頭位変換性めまい
横たわる、起き上がるなどの頭を動かす動作が引き金になって軽い回転性のめまいがおこり、比較的短時間で自然におさまるのが特徴です。正常な状態では半規管に均等に分布しているカルシウム粒子(耳石)が、いずれかの半規管の中に集まってかたまりになってしまい、これにより誤った情報が脳へ伝わることによって回転性めまいの発作が起こります。予防には急に振り返る、天井を見上げるなどの急激な頭の動作を避けるように注意しましょう。逆にめまいが起きる動作をくり返すことによってめまいが起こりにくくなることも知られています。また、ストレスや睡眠不足、疲労が原因で起こることが多いために、これらの誘因を避けるように心がけましょう。
2. 病気が原因で起こるめまい
めまいの中には「I. 耳の病気で起こる」もの、「II. 脳・頸椎の病気で起こる」もの、が含まれることがあり注意が必要です。
-
I. 耳の病気で起こる
- メニエール病(原因として最も多く、耳鳴りや難聴を伴い、発作を繰り返す)
- 突発性難聴(急に聞こえが極端に悪くなる)
- 前庭神経炎(激しいめまいが起こり、その後もふらつきが続いている)
- 聴神経腫瘍(徐々に難聴がすすみますが、めまいは比較的軽い)
-
II. 脳・頸椎の病気で起こる
- 脳梗塞、脳とくに脳幹や小脳へ血流を送る動脈の血流低下(生まれつきこの血管が細い人、動脈硬化によってこの血管が狭くなっている人、老化で頸椎が変形し、動脈を圧迫している人ではおこりやすい)
前述のように、めまいには感覚器、運動器、脳、循環器などいろいろなシステムの異常が関係します。
-
めまいは、様々な病気のサインです。専門医で原因を調べてもらいましょう。
- めまいに耳鳴りや難聴など耳の症状の変化が伴えば耳の障害が疑われます。
- めまいに手足や顔のしびれ、ものが二つに見える、しゃべりにくいなどがあれば脳の障害が疑われます。
以上のような点から、めまいで医療機関を受診する時にはあらかじめ以下の項目について整理しておくとよいでしょう。
✧めまいの持続時間
✧めまいが起こった時の姿勢、頭の位置などの状況
✧耳鳴りや難聴、手足や顔のしびれ、頭痛などめまいに伴う他の症状
✧めまいが起こった時に意識を失ったかどうか など。
めまいの原因となる病気がわかった場合はその治療が必要ですが、予防のために日常生活において次の点をお勧めします。心がけて、生活に取りいれましょう。
✧睡眠と休息を十分にとること
✧ストレスを避ける工夫、適度の運動や趣味などによる気分転換
✧禁煙
通常、元気に歩く子供が周りの人に抱きつき歩こうとしない、歩き方がいつもと異なる場合は、「めまい」によるものかもしれません。「めまい」があるとふらふらします。ふらふらする原因はその多くが自律神経の調節がうまくできない起立性調節障害です。一方、めまいの場合は、前述したように脳や内耳に原因があります。子供がいつもと歩き方が違い、何かおかしいと感じた時は病院で診てもらいましょう。
・神経内科の主な病気 めまい(日本神経学会)
https://www.neurology-jp.org/public/disease/memai.html
・診療ガイドライン等 (日本めまい平衡医学会)
http://memai.jp/
・健康ぷらざ まずは安静に−めまいが起こったら-(日本医師会)
http://dl.med.or.jp/dl-med/people/plaza/205.pdf
・ふらふらする - 白クマ先生の子ども診療所(日本医師会)
https://www.med.or.jp/clinic/sick2012_hurahura.html
- 紫外線
- 細菌性食中毒
- 熱中症
- 脳卒中(夏に多発する脳梗塞)
- 気管支喘息
- ロコモティブ シンドローム(locomotive syndrome):運動器症候群
- 睡眠時無呼吸症候群「Sleep Apnea Syndrome:SAS」
- 逆流性食道炎
- 不整脈「心房細動」
- かぜ症候群、インフルエンザと肺炎について
- 帯状疱疹
- 腰痛
- 痛風
- 口内炎
- 夏に気をつけたいアデノウイルス感染症
- 過敏性腸症候群
- 食物アレルギー
- 緑内障
- 食欲不振
- 痔
- かゆみ [皮膚そう痒(よう)症]
- 慢性疼痛
- ニキビ(尋常性痤瘡)
- 尿路結石
- 骨粗しょう症
- 慢性疲労症候群
- 光線過敏症
- 冷房病(冷え性)
- アトピー性皮膚炎
- めまい
- ピロリ菌
- 虫歯
- 受動喫煙
- 歯周病
- 片頭痛