池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)
9. 人+良=食 〜たんぱく質〜
「人」と「良」からできている文字、それが「食」です。それでは、人の生活を良くしてくれる食とは、どのようなものでしょうか。食は、健康なからだづくりに必要不可欠なものですが、その中で重要なのが栄養素の質とバランスです。栄養素の中でも、「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」は、三大栄養素と呼ばれていますが、たんぱく質を最初に挙げたのにはわけがあります。
たんぱく質は英語で、プロティン(Protein)といいますが、そもそもはギリシャ語のプロテオスという言葉を語源にもちます。その意味は、「第一人者」「第一のもの」。要するに、人の生命活動維持に最も重要なもの、それがたんぱく質だということです。
アミノ酸とたんぱく質
たんぱく質を形作っているのはアミノ酸です。アミノ酸には約20の種類があり、その組み合わせによって作られるたんぱく質は、10万種類ともいわれています。アミノ酸のうち8種類(乳幼児期は9種類)は、からだの中で作ることができません。それらは食事から摂取しなければならず、必須アミノ酸といわれています。
これらアミノ酸から作られるたんぱく質の栄養状態は、血液中のアルブミン濃度から判断できます。アルブミンは、肝臓で作られるたんぱく質で、血液中に存在しています。その濃度の低下は、たんぱく質栄養の不良状態を表し、その程度は年齢とともに進んでいくことが知られています。
良質なたんぱく質
魚や鶏卵の白身、大豆製品などには、良質なたんぱく質が含まれています。これらの食材を使った料理を、バランスよく食事に取り入れることは老化の防止につながります。「たんぱく質の不足」は、つまるところ「老化の加速」と同じ意味といえるでしょう。
中高年者の主要な健康指標の一つである、血中アルブミン濃度を6g/dl以上に保ち、加齢に負けない若々しい生活を送れるよう心がけましょう。
2007年09月 掲載
■テーマ
1. 不適切な生活習慣と「生活習慣病」2. 体重コントロール
3. 「死の四重奏」〜肥満〜
4. 「死の四重奏」〜糖尿病〜
5. 「死の四重奏」〜高脂血症〜
6. 「死の四重奏」〜高血圧〜
7. 快便は健康のバロメーター
8. 定期的に健診を受けて生活習慣病の予防をはかる
9. 人+良=食 〜たんぱく質〜
10. 人+良=食〜脂質〜
11. 人+良=食〜炭水化物〜
12. 健康維持の助っ人、サプリメント
13. ストレスをためない生活
14. 快眠のために
15. 基礎代謝
16. 酒と肝臓の深い関係
17. 喫煙習慣とがん
18. 大腸がんの早期発見
19. ウイルス性肝炎とがん
20. 乳がんの早期発見
21. 前立腺がんが増えている
22. 新しいタイプの肝障害―NASH(ナッシュ)―
23. とても多くなった高尿酸血症・痛風
24. 糖尿病への取り組み
25. 糖尿病とは「畏」の気持ちをもって付き合う
26. 加齢とともに増える眼の病気―白内障、網膜症、緑内障、黄斑変性症―
27. 高血圧の自己管理―家庭血圧をはかりましょう
28. コレステロールが気になる人へ
29. 歯周病を予防し「8020(ハチマル・ニイマル)」を目指す
30. アンチエイジング(抗加齢)とセルフメディケーション
31. 快適生活のための「四快」