セルフメディケーションを実践のための200テーマ

池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)

11. 人+良=食〜炭水化物〜

 炭水化物は糖質ともいわれ、健康的な食生活においては1日の摂取エネルギーの6割を、この炭水化物から摂取するのが理想的とされています。

 しかし、一口に炭水化物といってもその種類はたくさんあります。その中でも、米飯、麺類、パン、イモ類などに多く含まれている澱粉は、もっとも身近な炭水化物です。次いで摂取量の多いのが2糖類で、その代表格が砂糖(蔗糖)です。乳製品に含まれる乳糖、果物などに含まれる果糖なども、この2糖類に含まれます。

魅惑の砂糖

 砂糖の原料は、サトウキビの茎、テンサイ(甜菜)の根です。もともとサトウキビの甘さは淡白なものですが、これを濃縮することで私たちが普段口にする砂糖となります。その美味しさから古来より珍重され、大量生産が可能な時代になると世界中で利用されるようになりました。

 砂糖は、小腸でブドウ糖と果糖に分解され身体に吸収されます。その中でもブドウ糖は、脳細胞に於ける主要なエネルギー源でもあります。砂糖の他にも甘味料は数多く開発されていますが、味や汎用性において、いまだ砂糖の地位を脅かすものはありません。しかし、美味しいからと多量に摂取していては、肥満や虫歯などの原因となってしまうことは、すでに周知の通りです。

食物繊維不足の現代人の味方、オリゴ糖

 穀類には、食物繊維とともに難消化性の糖質であるオリゴ糖が含まれています。その特性は、砂糖と違い小腸で消化・吸収されることはなく大腸へ運ばれ、そこで腸内細菌の栄養源になるというところにあります。オリゴ糖を適量摂取することは、善玉の腸内細菌を増やすことにつながります。その結果、便通もよくなり、糖代謝や脂質代謝、免疫機能も向上します。

 現代人は、一般的に食物繊維の摂取量が不足しがちです。その不足分を補うものとして、オリゴ糖のような糖質を適量摂取することも、健康の維持にとっては有益といえるでしょう。

2007年11月 掲載
■テーマ
1. 不適切な生活習慣と「生活習慣病」
2. 体重コントロール
3. 「死の四重奏」〜肥満〜
4. 「死の四重奏」〜糖尿病〜
5. 「死の四重奏」〜高脂血症〜
6. 「死の四重奏」〜高血圧〜
7. 快便は健康のバロメーター
8. 定期的に健診を受けて生活習慣病の予防をはかる
9. 人+良=食 〜たんぱく質〜
10. 人+良=食〜脂質〜
11. 人+良=食〜炭水化物〜
12. 健康維持の助っ人、サプリメント
13. ストレスをためない生活
14. 快眠のために
15. 基礎代謝
16. 酒と肝臓の深い関係
17. 喫煙習慣とがん
18. 大腸がんの早期発見
19. ウイルス性肝炎とがん
20. 乳がんの早期発見
21. 前立腺がんが増えている
22. 新しいタイプの肝障害―NASH(ナッシュ)―
23. とても多くなった高尿酸血症・痛風
24. 糖尿病への取り組み
25. 糖尿病とは「畏」の気持ちをもって付き合う
26. 加齢とともに増える眼の病気―白内障、網膜症、緑内障、黄斑変性症―
27. 高血圧の自己管理―家庭血圧をはかりましょう
28. コレステロールが気になる人へ
29. 歯周病を予防し「8020(ハチマル・ニイマル)」を目指す
30. アンチエイジング(抗加齢)とセルフメディケーション
31. 快適生活のための「四快」