セルフメディケーションを実践のための200テーマ

池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)

13. ストレスをためない生活

 音楽や映像において、「癒し」をテーマにしたジャンルはすでに定着し、多くの人々が利用しています。このことは、現代がストレス社会になったことを象徴して余りあると言ってよいでしょう。

ストレスはマイナスばかりじゃない

 本来、ストレスという言葉は、物体が外から刺激を受けることで"変形"すること、またはその刺激への"反発力"を意味します。ゴムマリを指で押したときを例とすれば、ゴムマリにできた窪みが"変形"であり、押した指に感じる抵抗が"反発力"、そしてゴムマリを押す指が"ストレッサー(ストレスを感じさせる刺激)"ということになります。

 ストレッサーは、日常生活のありとあらゆる場面に存在します。また、他人から見たら「どうでもないこと」が、当人にとっては大きなストレッサーとなることもあります。

 仕事や人間関係が複雑化した現代では、「ストレスを受けない」生活はありえません。一方で、ストレスは人が活動する際の原動力にもなり、生きていることの証ともいえるのです。

趣味を見つけてストレス解消

 貝原益軒は、その著書『養生訓』で、ストレス解消には「心の楽しみをしる」ことが大切だと説いています。「読書、詩歌を吟ずる、香を楽しむ、酒は微酔、花は半開を愛でる」といった、静謐なひとときこそストレス解消に良いとしています。

 江戸時代の本草学者の考えを今風にアレンジすれば、音楽も聴くだけでなくカラオケで歌ってみるのも良いと思います。加えてカラオケは、人間関係を円滑にする潤滑油としても効果的です。

「心の楽しみをしる」とは、つまるところ趣味の世界にて楽しむということです。生涯わたって続けられる趣味を見つけ、これを育くむことは、現代に生きる者にとって最高のストレス解消法になることでしょう。

2008年01月 掲載
■テーマ
1. 不適切な生活習慣と「生活習慣病」
2. 体重コントロール
3. 「死の四重奏」〜肥満〜
4. 「死の四重奏」〜糖尿病〜
5. 「死の四重奏」〜高脂血症〜
6. 「死の四重奏」〜高血圧〜
7. 快便は健康のバロメーター
8. 定期的に健診を受けて生活習慣病の予防をはかる
9. 人+良=食 〜たんぱく質〜
10. 人+良=食〜脂質〜
11. 人+良=食〜炭水化物〜
12. 健康維持の助っ人、サプリメント
13. ストレスをためない生活
14. 快眠のために
15. 基礎代謝
16. 酒と肝臓の深い関係
17. 喫煙習慣とがん
18. 大腸がんの早期発見
19. ウイルス性肝炎とがん
20. 乳がんの早期発見
21. 前立腺がんが増えている
22. 新しいタイプの肝障害―NASH(ナッシュ)―
23. とても多くなった高尿酸血症・痛風
24. 糖尿病への取り組み
25. 糖尿病とは「畏」の気持ちをもって付き合う
26. 加齢とともに増える眼の病気―白内障、網膜症、緑内障、黄斑変性症―
27. 高血圧の自己管理―家庭血圧をはかりましょう
28. コレステロールが気になる人へ
29. 歯周病を予防し「8020(ハチマル・ニイマル)」を目指す
30. アンチエイジング(抗加齢)とセルフメディケーション
31. 快適生活のための「四快」