池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)
中高年世代の最大の関心事は、健康、経済(お金)、家庭(家族、子供)の「3K」です。
健康では、死に直結するがん、脳卒中、心臓病の予防対策への関心が高く、そのためには食生活、運動、休養の3本柱に加えて、飲酒や喫煙への配慮が必要です。そして、誰もが「肥満」を気にします。
肥満の原因は、摂取する食事量(エネルギー)に対して消費する身体活動量(運動)が少ないことにあります。そこで、食事は腹七、八分目を保ち、1日1万歩以上は歩くなどの生活習慣を確立し、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを保つことが肝要です。
消費エネルギーは、安静状態でも使われている基礎エネルギー消費(基礎代謝)、身体を動かして消費されるエネルギー(活動エネルギー)、食事をして身体が温まることで生じる食事誘導性熱産生によって構成されています。このうち大半は基礎代謝によっており、全消費エネルギーの70%を占めています。
そこで太りにくいからだづくりのポイントは、年齢とともに低下してくる基礎代謝を、できるだけ低下させない工夫と努力だということになります。例えば、男性の場合20才で1,600kcalの基礎代謝が50才では1,400kcal、70才では1,200kcal程度まで落ちます。50才で20才のときと同じ食事をしていては、基礎代謝ひとつとってみても肥満は避けがたいということになります。
肥満で脂肪組織が増えると、それに反比例して筋肉組織は減少します。その結果、脂肪が燃えにくいからだ(基礎代謝低下型)になってしまい、いよいよ肥満が加速されます。
この基礎代謝低下型のからだを、脂肪が燃えやすい基礎代謝活発型のからだにするには、大小500といわれるからだを構成する筋肉組織が量的にも、質的にも充実することが必要です。筋肉組織が多く、肥満のみられないからだは、生活習慣病にかかりにくく自立した健康長寿が可能となります。そのための食生活としては、1日量として良質のたんぱく質60〜70g、脂肪は動物性脂肪を控えめに30g、糖質は穀類を中心に300〜400g、加えてビタミン、ミネラル、食物繊維をたっぷり摂れるメニューがおすすめです。
しかし、このような食生活も、基礎代謝が低くては大きな成果は期待できません。日頃の運動習慣を継続させて、基礎代謝の低下を防ぎましょう。
2. 体重コントロール
3. 「死の四重奏」〜肥満〜
4. 「死の四重奏」〜糖尿病〜
5. 「死の四重奏」〜高脂血症〜
6. 「死の四重奏」〜高血圧〜
7. 快便は健康のバロメーター
8. 定期的に健診を受けて生活習慣病の予防をはかる
9. 人+良=食 〜たんぱく質〜
10. 人+良=食〜脂質〜
11. 人+良=食〜炭水化物〜
12. 健康維持の助っ人、サプリメント
13. ストレスをためない生活
14. 快眠のために
15. 基礎代謝
16. 酒と肝臓の深い関係
17. 喫煙習慣とがん
18. 大腸がんの早期発見
19. ウイルス性肝炎とがん
20. 乳がんの早期発見
21. 前立腺がんが増えている
22. 新しいタイプの肝障害―NASH(ナッシュ)―
23. とても多くなった高尿酸血症・痛風
24. 糖尿病への取り組み
25. 糖尿病とは「畏」の気持ちをもって付き合う
26. 加齢とともに増える眼の病気―白内障、網膜症、緑内障、黄斑変性症―
27. 高血圧の自己管理―家庭血圧をはかりましょう
28. コレステロールが気になる人へ
29. 歯周病を予防し「8020(ハチマル・ニイマル)」を目指す
30. アンチエイジング(抗加齢)とセルフメディケーション
31. 快適生活のための「四快」