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池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)
19. ウイルス性肝炎とがん

 昔は黄疸として一括されていた肝臓の病気ですが、今日ではウイルス性肝炎、脂肪肝、肝がんなどに区分されます。さらにウイルス性肝炎は、A、B、C、D、E型に分けられています。

予備軍は350万人

 肝臓には、腹腔内から大量の血液が門脈を経て流れ込みます。そのため胃や大腸、あるいはすい臓などからがんが転移してくるケースが数多くみられます。これらが転移性肝がんです。

 これに対して、原発性肝がんの多くはウイルス性肝炎が発端になっています。中でもB型とC型の肝炎ウイルスは、原発性肝がんを引き起こす危険が高い肝炎ウイルスです。

 いずれも体液、特に血液を介して感染することが明らかにされています。現在、これらのウイルス感染による慢性肝炎ならびに肝硬変の予備群は、およそ350万人と推定されています。

肝がんを防止するために

 基本的な対策は肝炎ウイルスに感染しないことですが、昭和30年代以降輸血に使用された血液、あるいは血液を材料にして作られた血液製剤が、B型やC型の肝炎ウイルスに汚染されていたという不孝な時代がありました。

 このような流れの中で、肝炎ウイルス治療の研究も進み、B型肝炎の場合にはワクチンによる予防や治療、C型肝炎の場合にはウイルスを撲滅させるインターフェロン治療が導入されました。これらの予防や治療は一定の成果をあげましたが、完璧というわけではありません。インターフェロンも、全てのC型肝炎ウイルスに有効ではありませんでした。

 そこで、ウイルスは殺せないけれども、慢性肝炎から肝硬変、そして肝がんへの道を断ち切るための治療法が、色々と工夫されてきました。その中には、漢方製剤である小紫胡湯(しょうさいことう)による治療成果や、ビタミンAの誘導体やβカロチンの有効性も報告されています。しかし、いまだ決め手となる治療法は見つかっていません。もし肝炎ウイルスのキャリアであることがわかったら、このような治療はもちろんですが、生活習慣の改善も必要です。その代表が、節酒、あるいは禁酒です。

 体内に入ったアルコールは、肝臓で処理されます。お酒の量を適切にコントロールせず放置すれば、肝臓に大きな負担をかけることになります。その負担は、慢性肝炎から肝硬変への悪化を促します。

 現時点で肝臓内のウイルスを根絶するのが難しい以上、病状を進行させないことがもっとも重要です。主治医と相談しつつ、医療機関での治療と平行して生活習慣改善にも積極的に取り組みましょう。

2008年07月 掲載