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池田義雄(セルフメディケーション推進協議会会長)
23. とても多くなった高尿酸血症・痛風
 「赤く腫れあがった足の親指に激痛が走る。これで大の男が涙をこぼすというのが痛風という病気です」。
 昭和34年、私が医学部の3年生のときに内科学の講義で聞いた、今なお忘れられない痛風に関するさわりです。講義された先生は、「この病気はわが国には極めて稀で、皆が特に勉強する必要はない」と言われ、次の内容へ進まれました。
 医学統計を振り返って調べてみると、確かにその先生が言われていた通り、昭和30年代の半ばまで痛風は希少疾患だったことが分かります。しかし、今日では成人男子の4人に1人が、痛風とその基礎疾患である高尿酸血症を患っているほどの変貌を遂げています。
 また興味深いのはこの疾患が、男性患者が100人いるのに対し女性は数人以下と極端に男性に偏っていることです。
 「男っぽくて肥満気味」。これが、典型的な痛風患者像で、具体的には、ビールが好物で珍味に目がなく、さらにタフさが自慢といった点が特徴的です。
高尿酸血症から痛風へ
 高尿酸血症・痛風は血液中の尿酸という成分が過剰になって起こります。尿酸はタンパク質の1種である核酸やATPなどが代謝分解された老廃物として体内で1日に約0.6g作られ、腎臓から尿中へと排泄されています。
 この尿酸が沢山作られる(尿酸産生過剰)、排泄がうまくいかない(尿酸排泄低下)などが原因で、血液中の尿酸値が7mg/dLを超えてしまうと高尿酸血症の状態になり、この状態がつづくと尿酸の針状結晶ができるようになります。これが徐々に全身的に蓄積するようになり、いつ痛風発作が起こってもおかしくない条件が整ってきます。
 一般的に関節部の炎症として現れてきますが、その一番典型的な場所が足親指の付け根で、最初に述べたようなひどい痛みが生じます。これがいわゆる痛風発作です。
尿酸コントロールのポイント
 昔はなかなか治らず不治の病のように思われていましたが、いまではよく効く治療薬があり、生活改善の方法もはっきりしてきています。
 痛風発作の激しい痛みは、強い薬で治療を受けると和らぐことも多く、治療しなくても10日ほど経つと消えます。しかし、体内の尿酸蓄積はつづき、放っておくと再発します。
 痛風発作の後、あるいは検査で見つかったときからの継続的な治療こそが、高尿酸血症/痛風と決別する決め手になります。
 まず、過食と早食いをやめて腹八分をまもる。尿酸の元になるプリン体の含有量の多い珍味類を少量とする。そして飲酒量の制限が欠かせません。
 痛風発作防止のためには、先ずは現在の体重をこの3か月で3kgほど減らし、運動を加味してお腹回りを3cm以上引き締める「3、3、3」がポイントになります。
 そして、散歩、通勤の行き帰りにウォーキングなどの軽い運動を心掛け、また、強いストレスを生活のなかに持ちこまにないように工夫したいものです。
 尿酸値7mg/dL以上が継続するようであれば薬物療法が必要になります。その場合の主要な選択肢は、体内での尿酸生成を抑える働きのある尿酸合成阻害剤“アロプリノール”(ザイロリック、サロベールなど)や尿酸排泄促進薬(ユリノーム、ベネシット)などの継続的な服用です。
 尿酸値が8mg/dL以上で痛風発作の既往やメタボリックシンドローム(高血圧、脂質異常症、糖尿病)などの合併がみられるようであれば、食生活や飲酒などへの配慮とともに薬物療法を開始します。そして治療目標は尿酸値を6mg/dL以下に維持することにあります。
 これらの薬はよく効き血液中の尿酸値は比較的速やかに下がり始めます、しかし、尿酸は血液中だけでなく体の組織のなかに蓄積していることも多いため、少なくとも数年はこの治療を続けます。遺伝的素因を持っている場合も多く、一生飲み続ける方も大勢みられます。
 服用量の増減は医師の指示によることが大切で、決して勝手な服薬中断をしてはなりません。
 この病気は、しっかり治療していると日常生活に支障を感じないで暮らせるのが普通ですので、高尿酸血症・痛風と分かったら、ためらわずに、主治医を決めて継続的な治療をなされるようお勧めいたします。
2008年10月 掲載