1. オリンピック年こそニコニコペースで | やってみよう健康運動 | セルフメディケーション・ネット

福田千晶（セルフメディケーション推進協議会理事）

1. オリンピック年こそニコニコペースで

　皆様、はじめまして。福田千晶です。私は医師として大学病院のリハビリ科勤務を経て、その後は講演と執筆を主に活動しております。

　また、水泳選手だった経験もあり、ジュニア時代には全国大会においてバタフライで優勝経験もあり、また東日本医科学生選手権大会では大会記録を18年間維持していました。そのため、リハビリ科の医師として、そして選手経験からも運動に関しては身近でもあり、運動療法の大切さを実感しています。

　さて、今年は北京オリンピックの年。早くも選考会や合宿の様子が報道されています。輝く選手たちを見ていると、つい「よ～し、運動を始めよう」と志したくなります。

運動はゆとりあるペースで

　運動はセルフメディケーションの大きな柱の一つ。でも、方法を間違うと危険を伴うことも忘れてはなりません。特に久しぶりに運動をする人は、充分に準備をしないとなりません。目安は、あくまでも「動いて気持ちいい程度」のレベル。

　日本体力医学会では「ニコニコペース」つまりニコニコと笑顔を浮かべられるくらいの、ゆとりあるペースでウオーキングやジョギングなどが健康目的の運動にて適していると推奨しています。苦しくて、しかめっ面になるのでは運動強度が強すぎて、血圧を上げたり心臓に負担がかかり危険も伴うのです。

　ニコニコペースで、30分間の早歩きをすると、約100Kcalを消費でき、継続することで筋肉も強化されます。筋肉が強く大きくなれば、筋肉でエネルギーをより多く消費しますから、太りにくい体になります。

　ちなみに1Kg減量したいなら7,000Kcalを燃やす必要があります。1カ月間で1Kgを減らすなら1日におよそ230Kcalを消費する計算になります。ですから、ウオーキングを30分間で100Kcalを燃焼し、さらに食事で130Kcal分の摂取を減らせばOKです。これはケーキを和菓子に変えたり、とんかつの両端を1切れずつ残したり、ご飯の大盛りを普通盛りに変えることで可能になります。

　ところが実際に快くウオーキングをしている途中で、ふと「ここでもっと頑張らないと、効果がないのでは!?」と、ペースを上げてしまいがち。特にオリンピックを目指して頑張っている選手の姿をテレビで見ると刺激されて、ついつい自分もペースを上げて頑張る傾向があります。

　そこで、頑張りすぎず・・・1分間の脈拍数は、50代までなら120拍、70代なら100拍以内を目安としましょう。ニコニコペースの運動を末永く続けることが、セルフメディケーションの基本と覚えておいて下さいね。

2007年11月掲載