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12. 糖尿病に効く運動―食後運動のすすめ―
長阪裕子(三咲内科クリニック、健康運動指導士)
11月14日は世界糖尿病デー*1
 東京タワーをはじめ札幌の時計台から宮崎県庁や鹿児島の観覧車まで国内では50ヵ所近く、世界では1000ヵ所近くの名所や建造物が青くライトアップされました。今回は、それにちなんで糖尿病の運動療法についてお話します。
運動するとなぜ血糖が下がるの?
 それは、筋肉が運動(収縮)することにより血液中から筋肉細胞内へ糖の取り込みが盛んになるからです。運動した量により異なりますが、その効果は運動中から数日間持続します。

 一般的な持久運動を30分〜1時間程度行った場合には、運動後12時間以上持続するとも考えられています。
 また、このような1回の運動による急性効果だけでなく、運動を日々継続することにより糖代謝に関係する物質が増加や活性化され、ますます血糖を下げる効果が得られることもわかっています。やはり、運動は継続が大切なのですね!
糖尿病の治療には、食後の運動がおすすめ!
 最近、糖尿病の治療では「食後高血糖」が注目されています。心血管系疾患の発症や死亡率と大きく関与していることが明らかになってきたからです。そこで、糖尿病の運動療法では前述した急性効果を期待して、食後に行うことが奨められています。

 血糖値がピークになるであろう「食後1〜2時間」か、ピークになる前の「食後30分」か、お腹が痛くならない程度ならすぐ動いても良いのか・・・。食後(箸を置いてから)運動を始める時間について様々な議論が交わされていますが、私の指導経験では「食後は起きていること!」だけでも良くなるケースを目にします。
食後は寝ますか? 起きていますか?
 意外と食後お休みになる方が多いようです。「食後は右を下にして寝る」という慣わしか、「食後すぐ寝ると牛になる」という言葉を忘れてしまったのか、お腹いっぱいに食べるから眠くなるのか・・・。

 食後どうしても眠くなると言うある患者さんに、食後はエクササイズボール(大きなボール)に座ってテレビを観てもらうようにお願いしました。すると、見事3ヵ月間でHbA1c*2が約2%下がりました。もちろん、それにはその他の要因もあったとは思いますが、本人から「食後の胃もたれや眠気がなくなったし、お腹いっぱいに食べなくなった。ボールの上はブランコに乗っているみたいに楽しく気持ちいい。最近は15分位ボールに座って弾むようになった。」とありました。

 食後エクササイズボールに座ることが、直接的にも間接的にも血糖コントロールの改善に役立ったのだと思われます。

 糖尿病の治療としての運動(運動療法)には、血糖を下げるだけではなく、他にもいくつか期待されている効果があります。しかしながら、運動は時には害になることもあります。運動療法を始める場合は、必ず医師に相談してください。
    *1 世界糖尿病デー
     11月14日は血糖を調節するホルモン「インスリン」を発見したカナダ人医師、フレデリック・バンティングの誕生日。世界糖尿病デーは、拡大し続ける糖尿病の脅威をふまえ、世界各地で糖尿病の予防、治療、療養について啓発活動を推進するために国連が定めました。シンボルマーク「ブルーサークル」は、国連や空を表す「青(ブルー)」と団結を表す「輪(サークル)」を意味しています。

    *2 HbA1c
     過去1〜2ヵ月間の平均血糖値を反映する検査。血糖コントロールの評価として世界的に用いられています。
2008年11月 掲載