16. 花粉症シーズンの運動のワザ
福田千晶(セルフメディケーション推進協議会理事)
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健診の受診者やクリニックを訪れる患者さんでも「花粉の季節はウォーキングができないから太っちゃって」とか「運動を始めたいですが、花粉症が治ってから・・・」という人が多いのがこの季節。今回は、花粉症シーズンの運動継続の知恵をアドバイスいたします。
一般に花粉は気温が上がって空気が乾く正午から午後3時頃までに増えます。ですから、運動は朝や夜、そして日によっては風の少ない時間帯がまだマシです。雨が降った後は、飛び交う花粉が減るのでウォーキングやジョギングに適したタイミングです。 ゴーグルやサングラスは必携。帽子はつばのある野球帽などをかぶり、長い髪はまとめて帽子の中に入れます。ウエアは、ウインドブレーカーなど、花粉が滑り落ちるナイロン素材のものを着用します。玄関に入る前にウエアの表面の花粉をはらい落とすことも忘れずに。 運動を兼ねて犬の散歩をする人は犬のウエア(?)も要注意。もしワンちゃんがニット素材のモノを着て屋外を歩き、そのまま室内に連れて入り膝の上に乗ったり、寝るときに枕元にいたら・・・ワンちゃんが動くたびにニットから出る花粉をたっぷり吸い込みます。 ワンちゃんのウエアは、帰ったら脱がせて、さらに体の毛をブラッシングしておくと室内に持ち込む花粉をかなり減らせます。 花粉が飛び交う屋外より、室内はまだいくらか楽でしょう。ですから、このシーズンはスポーツクラブや公共の体育館などでの運動を主体にすることも一案です。クラブや施設を調べて参加することで、やがて来る梅雨時の運動も継続しやすくなります。 この機会にインドアスポーツやダンス、マシンを使った運動を始めても良いでしょう。 花粉症も重症だと「いくら室内でもとても卓球やスカッシュ、バレーボールなんて、マスクをはずせない私には無理」という人!! その場合はエネルギー消費では、ジョギングやウォーキングより劣りますが、自宅でもできる軽い筋力トレーニングだけでも続けましょう。花粉のシーズンが終わったら、すぐに屋外に飛び出せる筋力を維持します。 簡単な、腹筋運動、背筋運動、腕立て伏せとあわせてストレッチだけでも続けておきましょう。この期間に、自分の筋力や柔軟性など、丁寧に調べておくのは今後の人生で運動を継続する上で大切です。そして、エレベーターやエスカレーターは使わず、階段でわずかながらも脚を使っておきましょう。 花粉症も入浴時には、あまり気にならないのでは?浴室は、湿度が高いため花粉が飛び交わず、すぐに床に落ちます。同様に室内プールでも、花粉は少ないと予測されます。水泳や水中ウォーキングに親しむのも良いでしょう。この場合、なるべく入り口から遠いコースで泳ぐようにします。なぜなら、入り口近くは人の出入りに伴って花粉もやっぱり入ってきますから・・・。 花粉症も疲労、睡眠不足、ストレス、体の冷えなどで症状が悪化します。つまり体調を整えておくことは大切。 さらに、適したクスリでの治療も有効です。最近では眠気の出にくい抗ヒスタミン剤や、1日1回の内服で飲み忘れしにくいクスリなどもいろいろあります。医師や薬剤師に相談して、症状やライフスタイルにあったクスリを上手に使いましょう。これも花粉症シーズンに運動を継続するために必要なポイントです。 2009年03月 掲載
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