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22.登山、アウトドアスポーツの注意
福田千晶 (医学博士、健康科学アドバイザー)

 10月3日は「アウトドアスポーツの日」そして「登山の日」。広い空の下で、体を動かす絶好の季節到来! でも、最近は中高年者の登山の事故が多く報道されて気になります

運動としての登山の特性
 美しい景色を眺めながら自然に触れあい、仲間とも達成感や感動をともに味わえる登山は魅力がたっぷり。趣味の登山は仲間内で競い合うこともなく皆で同じ目標に向かって進めます。ところが、その反面、タイムやスコアで実力を評価されないため、個人の能力がわかりにくい点があります。

 斜面を歩くときにはヒザに瞬間的には体重の4倍程度の重さが加わると考えられます。前かがみで歩くと腰は、直立したときの1.5倍もの圧力がかかります。その上、リュックには荷物を持ちますから、脚や腰に大きな負担が加わることは予測できます。息が弾み、その後はハーハーと息が切れて苦しくなると、心臓は酷使されて血圧も上昇します。そのため、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など死に至る病気も引き起こしかねません。

中高年の身体変化
 加齢に伴い高血圧、糖尿病などの内科的疾患の有病率は上がります。さらに、膝関節痛などの整形外科的疾患、白内障や緑内障など眼科的疾患も増加します。つまり、現在は元気でも体の予備能力は確実に低下しています。

 そのため、傾斜が加わる山道、天候の条件による変化の適応できず、病気や怪我を引き起こしかねません。まさに「年寄りの冷や水」です。

自然の厳しさを知る
 街では穏やかな秋の日も、山の天気は不安定になりがちです。標高が100メートル上がると気温は約0.6度下がります。東京が気温20度の日に富士山の山頂では0度近くまで下がります。

 さらに雨に濡れたり、風が吹くと体感温度は下がります。たとえると「冬に水を浴びて扇風機の前に立っているような条件」になるのです。  登山は山の高さのほかに、気温、風、雨など自然にも挑戦するスポーツなのです。

準備と注意
 靴はもちろんのことリュックサックやウエアも、自分の体に合うものをきちんと選びましょう。必要に応じて、雨具としてレインウエアや、照明のライトも軽くて使いやすい物を用意します。

 計画を立てるときに不安であれば、プロのガイドを頼む方法もあります。また、任意で行う登山の届出は出発前にしておくことが望ましいでしょう。もし、事故や救助を要するときに迅速に対応することに役立ちます。

 前日は、山のふもとに宿泊することもあります。久しぶりの仲間での旅行でも翌日が登山なら、前夜の暴飲暴食は控えめにして早めにきちんと睡眠をとることも大切です。また、もし登山の途中で体調が悪くなったら、遠慮しないで申し出られる人間関係が不可欠です。

 他のメンバーも「あなたがここであきらめたら皆が山頂まで行けない。あと少し、頑張ろう」と無理強いしてはいけません。具合の悪い人の立場を理解して、計画を変更するなど助け合うことが大切です。

 中高年ではインターネットや携帯電話を充分に活用しきれていない人も多いのが現状です。日頃から、ネットに親しみ、気象条件など情報収集を万全に行い、イザと言うときの経路の変更や連絡なども速やかに正確に行えるようにしておきたいものです。

 登山に限らず、アウトドアスポーツでは、充分に準備を行い、安全に楽しく体を動かしたいものです。
2009年09月 掲載