長阪裕子(セルフメディケーション推進協議会会員)
24. 朝に運動をする方・したい方へ

今年の紅葉は“色づきが鮮やか”との予想ですが、皆さんのお住まい近くではいかがですか?
全国的に晴れる日が多く、朝の冷え込みも期待できるため、色づきには良い条件が揃っているようです。
全国的に晴れる日が多く、朝の冷え込みも期待できるため、色づきには良い条件が揃っているようです。
さて、紅葉にはもってこいの“朝の冷え込み”ですが、私たちの身体には少々こたえますよね。寒い所では血管が収縮されて血圧が高くなりやすく、冬場は脳梗塞や心筋梗塞などの危険性が増します。そんな寒い朝、眠い目をこすりながら無理やり身体をおこして運動したら危険?!いやいや、ちょっとしたコツがあるのです。
ウォームアップは念入りに!
寒い外に出て、いざ身体を動かそうと思っても、なかなか上手く動かないと感じたことのある方がいらっしゃると思います。寒い所では、関節や筋肉の動きが鈍くなり、身体も温まりにくいです。そこで、温かい家の中でウォームアップを念入りにしておくことをお勧めします。ウォームアップは血流を良くし、筋肉の弾力性を高めることが目的なので、動的ストレッチング(軽く反動をつける)をメインに行うことが良いとされています。例えば、手や足をぶるぶると振ったり、腕や脚を前後左右にスウィングさせたり、身体を左右にひねったり(体幹の回旋)。心臓や頭から遠い所から徐々に始めるのが良いとも言われています。
加えて、軽い*レジスタンス運動をするのも良いと思います。以前は、有酸素運動のあとにレジスタンス運動をすることが推奨されていましたが、最近では逆に、レジスタンス運動のあとに有酸素運動をする方が効果的であるという研究結果も出てきています。
レジスタンス運動によって筋肉を刺激することで成長ホルモンが分泌し、遊離脂肪酸(エネルギーとして活用される脂肪)が血液に多く出てくるので、脂肪が燃焼しやすくなると考えられています。
ウェアーは重ね着を!首や耳元も暖かく!
寒い外で運動する時は、何枚か重ね着して出かけることをお勧めします。運動しているうちに身体が暖かくなってきたら、徐々に脱いで調節ができます。また、首や耳元,腰などを暖かくしておくと体温の低下を防ぎやすいので、マフラーや帽子、手袋など小物を有効活用するのも手です。さらに、背中や腋下など発汗の多い所にタオルを一枚挟んでおいて、汗をかいた時にそれを抜き取れば、汗による冷えの予防が手軽にできます。
水分補給を忘れずに!
夏のようにたくさん汗をかかないからといって、冬は水分をあまりとらない方もいらっしゃいます。しかし、一般的に寒さによって尿量が増えていますので、冬場でも水分を十分にとってからウォーキングなどに出かけて下さい。トイレが心配な方は、事前に場所を調べておけば安心ですね。「早朝高血圧」にご用心!
最近、朝の血圧が特に高くなる「早朝高血圧」が注目されています。朝方は交感神経が活発化しはじめ、血圧が急に上昇します。朝方から午前中は脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすい時間帯でもあり、この「早朝高血圧」が関係しているのではないかと考えられています。そこで、朝にウォーキングやジョギングをする人も、できれば起床して1時間くらいは家の中で食事をしたり、お茶を飲んだり、身支度などをしてから出かけることをお勧めします。この時に、先述したウォームアップを家の中でするととても良いですね。食後に運動すれば、血糖値も下がります。(バックナンバー12)
病院に行った時や健康診断で血圧を測っただけでは、「早朝高血圧」かどうかわかりません。できれば、朝に運動される方は、運動前に血圧を測ってみてください。高めの時は運動を中止する勇気も健康づくりには必要です。
もちろん、朝の血圧が高めだと思われる方は、数日間の値を記録して医師にご相談ください。
※レジスタンス運動…筋肉に抵抗(レジスタンス)をかけて行う運動。 筋力トレーニング。筋力、筋パワー、筋持久力を高める目的で行います。スクワットや腕て伏せなど自 分の体重をかけて行う運動や、ダンベル、ゴムバンド・チューブ、マシンなどを使って行う運動があり ます。
2009年11月 掲載
■テーマ
1. オリンピック年こそニコニコペースで
福田千晶
2. 特定健康診断、保健指導スタート! 準備はOKですか? 菅野 隆
3. いよいよ花粉シーズン到来!そんなときこそ‘気づき’の運動を! 長阪裕子
4. 知っておきたい健康の雑学:運動習慣と糖尿病予防 福田千晶
5. メタボ解消の簡単日常運動法! 菅野 隆
6. あなたに合った運動とは? 続けられる運動こそが効果的! 長阪裕子
7. 熱中症の対策 ウエア選びと水分補給 福田千晶
8. 夏だ!街中を実用サイクリングで、エコに、爽快ダイエット! 菅野 隆
9. 水の中ってすばらしい! 長阪裕子
10. スポーツの秋には腹筋強化も 福田千晶
11. 引き締め効果抜群の「2ステップ3D法」のすすめ! 菅野 隆
12. 糖尿病に効く運動―食後運動のすすめ― 長阪裕子
13. 大掃除でエクササイズ 福田千晶
14. 痛みや不定愁訴の70%は簡単運動でらくらく解消! 菅野 隆
15. 科学的根拠に基づいた糖尿病の運動療法 長阪裕子
16. 花粉症シーズンの運動のワザ 福田千晶
17. 「ストレス」や「こころの病い」への運動、リラクゼーションの効果 菅野 隆
18. 太っている人と痩せている人の驚くべき運動以外の消費エネルギーの違い 長阪裕子
19. 健康運動にもサングラスを 福田千晶
20. 積極的「身体活動」のすすめ(気持ちよく体を動かしましょう!) 菅野 隆
21.着けるだけで身体活動量アップ!? -歩数計の活用- 長阪裕子
22.登山、アウトドアスポーツの注意 福田千晶
23.秋のダイエット大作戦! 菅野 隆
24. 朝に運動をする方・したい方へ 長阪裕子
25.冬の運動は、こんな注意を 福田千晶
26.筋トレ生活習慣化のすすめ!〜大事な筋肉に習慣的に負荷をかけて、自己身体管理してますか?〜 菅野 隆
27. トレーニングの原理・原則を知って、効果的な運動を! 長阪裕子
28.生活習慣病を有す人の運動で注意したいこと 福田千晶
29. しなやかで柔軟な身体をつくる ストレッチ! 菅野 隆
30. メタボ対策と一緒に「ロコモ」対策も始めませんか! 長阪裕子
31.ロコモティブシンドロームは健康寿命を延ばす? 福田千晶
32. 自分の「歩き」を、とことん研究してみる! 菅野 隆
33. 自分の体力をご存知ですか?体力テストにチャレンジ! 長阪裕子
34.メンタルな不調に運動療法 福田千晶
35. 即効、肩こり解消エクササイズ! 菅野 隆
36. 運動は禁煙にも効果的! 長阪裕子
37.花粉症治療で知っておきたいインペアード・パフォーマンス 福田千晶
38.毎日の身体活動の基本、「足」のメンテナンス! 菅野 隆
39. 女性からはじまる健康づくり運動を! 長阪裕子
40. みんなで運動し、心も体も元気になろう!集団運動指導の注意点 福田千晶
41. 普段から「非常時」に備えたセルフケア、健康運動を! 菅野 隆
42. がんばろうニッポン! 運動はがんばる?がんばらない? 長阪裕子
43. 夏の運動時、健康管理の注意点 福田千晶
44. お腹引き締め、ダイエットに効果的な筋力トレーニング! 菅野 隆
45. 身体と心をほぐす運動? ―アクティブレストを知っていますか?― 長阪裕子
46. 運動後の入浴について考える 福田千晶
47.有酸素運動はウォーキング派?サイクリング派? 菅野 隆
48. 身体と心をほぐす運動? ―リズムにのって楽しく心地よく― 長阪裕子
49.しなやか物質 福田千晶
50. お勧めの「お家中運動」、ホームサーキットトレーニング! 菅野 隆
51. 心と身体をほぐす運動(3)―気がつかないで緊張していた筋肉をほぐす― 長阪裕子
52. マラソンは健康に良いか、悪いか 福田千晶
53. 呼吸法でダイエット!呼吸をもっと活用しましょう!! 菅野 隆
54. 熱中症を予防して、快適な運動を! 長阪裕子
55. 夏の健康管理は生活の知恵を活用!! 福田千晶
56. 「コンビ・ウォーク」完成!オリンピック(スポーツ)と健康運動(日常) 菅野 隆
57. 安全な運動で快適に「スポーツの秋」を楽しもう 長阪裕子
58. 老化の原因の一つ「糖化」を予防する運動 福田千晶
59. ロコモ、メタボ解消から美容、若返りまで、「チューブ筋トレ」! 菅野 隆
60. ニート(NEAT)を増やす意外な方法 長阪裕子
61.運動の継続は健康の源。1日10分間でも20年間には計1000時間、差が出て当たり前!? 福田千晶
62. 他分野のエッセンスを取り込んだ身体調整健康運動 菅野 隆
63. 最終回:夢をもって続けよう健康運動 長阪裕子