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28.生活習慣病を有す人の運動で注意したいこと
福田千晶 (医学博士、健康科学アドバイザー)

糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)などは、運動が病気の改善につながることはよく知られています。

 でも、運動することで症状悪化や体調不良になる不安もあります。もちろん日頃から診察をして病状を詳しく把握した主治医の注意を厳守することは大切です。その上で、注意点は運動する本人も指導者も覚えておきたいものです。

 運動には全身を動かすような、筋肉の収縮と弛緩を繰り返す等張性運動と、重量挙げのようにグッと力がかかり筋肉の収縮を持続する等尺性運動があります。この等尺性運動は筋肉が収縮して太くなった状態で、血管を圧迫します。内腔が狭くなった血管では、収縮期血圧(血圧の上)も拡張期血圧(血圧の下)も上げてしまいます。

 ですから、高血圧のある人、または動脈硬化が進んでいる可能性がある糖尿病や高脂血症を有する人には、危険が伴います。腕立て伏せ、マシンを使って強い負荷のトレーニングなども、時にはこの等尺性運動になるので、注意が必要です。

 等張性運動は、運動開始時に収縮期血圧を上げますが、強すぎる運動強度でなければ、血圧はまもなくいつも程度になります。ですから、血圧に不安のある人は軽い全身運動から始めることが推奨されるのです。運動強度も最大酸素摂取量の50%くらいから始めることが望まれます。

 脈拍では、138-(年齢/2)を基準にすると良いでしょう。42歳なら138-(42/2)=117、つまり1分間の脈拍が117拍までの全身運動が適しているといえます。

 また、薬剤を内服している人は、さらに気をつけることがあります。強度が50%程度の運動では、身体は内服薬によってほとんど影響は受けません。でも、汗をかいて体液量が低下すると、薬剤の血中濃度が高まり効果が出すぎて、低血圧を起こしたり、低血糖を起こす場合があります。

 特に糖尿病の患者さんでは、空腹時や起床後すぐの運動で低血糖を起こしやすいため、できれば食後1時間くらいで血糖値が上がっている時間帯に運動することが望まれます。

 春の香りに包まれた空気をいっぱい吸いながら、早足でウオーキング30分程度の運動からはじめて、日課にすると良いでしょう。
2010年03月 掲載