39.　女性からはじまる健康づくり運動を！ | やってみよう健康運動 | セルフメディケーション・ネット

長阪裕子（セルフメディケーション推進協議会会員）

39.　女性からはじまる健康づくり運動を！

　毎年3月1日～8日は「女性の健康週間」です。3月3日の雛祭り、3月8日の国際女性の日に合わせて定められ、厚生労働省より女性の健康づくりが国民運動として展開されています。

　女性は家庭や職場、社会でも健康を守るキーパーソンであることが多く、女性が生涯を通じて元気であることが、社会全体の元気の源といっても良いくらいかもしれません。国民自らが主体的に健康づくりに取り組むようにと政府が行っている「新健康フロンティア戦略」においても、「女性の健康力」は柱の一つに位置付けられています。

　そこで、今回は女性の運動について考えてみたいと思います。

運動による脂肪燃焼の効果は　女性＜男性！？

　男女雇用機会均等法、男女共同参画社会、男女同権など、現代社会において女性と男性は社会的に同等になってきました。しかしながら、生物学的には女性と男性は異なります。身体の構造の違いは別として、一般的に女性は男性よりも身長や体重、筋肉や骨格が小さく、骨盤は広い、そして体脂肪が多いです。特に、肥満のタイプ別では、女性は皮下脂肪型肥満（洋ナシ型）が多く、男性は内臓脂肪型肥満（リンゴ型）が多いと言われています。

　皮下脂肪型肥満は腹背筋群の外側の皮下についている脂肪（皮下脂肪）が多いタイプのことで、内臓脂肪型肥満は腹背筋群の内側にある内臓についている脂肪（内臓脂肪）が多いタイプのことです。そのうち、生活習慣病を引き起こしやすいのは内臓脂肪型肥満なので、特に男性の肥満者は気をつけなければなりません。もちろん、女性だから肥満していても良いわけではなく、筋肉や骨格の小さい女性にとって過体重は膝や腰などの関節に負担をかけることは言うまでもありません。生涯のうちに関節痛を訴えるのは男性より女性の方が多いというデータもあります。

　また、皮下脂肪より内臓脂肪の方が運動により燃焼しやすいと言われており、男性の方が脂肪を燃やすエンジンである筋肉が大きいことからも、女性より男性の方が脂肪燃焼効率が良いという報告もあります。

　ところが、最近では皮下脂肪でも内臓脂肪でもない第3の脂肪とも言われる異所性脂肪について研究が進んでいます。これは、臓器に直接悪影響を与える毒性の強い脂肪で、生活習慣病を引き起こす危険性があるというデータも発表されています。よって、脂肪に関する情報は今後、変わるかもしれません。

ライフステージに合わせた運動を

　さて、女性には幼少期～思春期～性成熟期～更年期～老年期といったライフステージがあります。生涯を通じた女性ホルモンの変化、月経、妊娠および出産、更年期、老年期等の女性の身体に関する基礎的な変化に加え、女性特有の心身の変化が起こります。

　また、更年期障害、骨粗鬆症、がんなどライフステージによって発症しやすい女性特有の疾患もあります。そこで、様々なライフステージごとに行う運動の内容や目的、留意点も微妙に変わってきます。

　例えば、老年期に起こりやすい骨粗鬆症を予防するためには、更年期以前から中強度の陸上運動を定期的に行っていると良いことや、更年期障害がある方やその予防にはヨガやストレッチングなど軽度のリフレッシュ運動やリズミカルな運動が良いと言われています。また、月経周期中の運動コンディションは、月経直後～排卵期頃が良く、月経直前～月経中は不良になりますので、運動を始めるなら月経直後～排卵期頃が良く、月経直後～月経中はのんびりペースで行うのが良いでしょう。

　さらに、最近では妊娠～出産～育児中の身体に合わせた医学的な運動プログラムも開発され、医療者と専門の運動指導者の管理下で行われている施設もあります。

　性差に基づいた健康づくりが重要視されている今、女性の健康づくりを通して、男性の健康づくりのきっかけとなるといいですね！　そういえば、奥様がシェイプアップのために始めたウォーキングに、用心棒として同行したご主人さまの血糖コントロールが良くなったという例もありましたよ。

2011年02月掲載