53. 呼吸法でダイエット！呼吸をもっと活用しましょう！！ | やってみよう健康運動 | セルフメディケーション・ネット

菅野　隆（セルフメディケーション推進協議会理事）

53. 呼吸法でダイエット！呼吸をもっと活用しましょう！！

呼吸法でお腹を引き締め、痩せられる？！

　先日、たまたま観ていたテレビ番組で某俳優さんが、『呼吸法で10kg以上痩せました。』、『行っているうちに即効的に腹筋の割れ目が出てきます。』と上半身裸で、自信たっぷりにおっしゃっておられました。5～6年前には、ヨガでいう「火の呼吸」で短期間に5kg痩せたというダイエット法が話題となったこともありました。また、最近では、現在わが国の筋トレの第一人者であられる東大の石井直方先生が、「ドローイン」という腹背部のインナーマッスルを絞り込む呼吸法でお腹を引き締めるダイエット法の書籍を出版されておられます。

　かくいう私も、僭越ながら、メタボリックシンドローム撲滅委員会で6年前に原案を作成させていただいた「メタボビクス」の中に、「呼吸法によるメタボ解消エクササイズ」を3つ程組み入れておりましので、今回はあらためて、「呼吸」について考察するとともに、それらの具体的方法をご紹介させていただこうと思います。

「呼吸」を再認識してみましょう！

　呼吸は、ふだんは無意識に、当たり前に行っている、いや（自律的に）行われている生命活動ですが、生きることとは、即、呼吸することで成り立っているわけですから、「生命、生きることとは、呼吸そのもの」、ともいえましょう。それだけ重要なものであることを、いまさらながら、あらためて確認したいと思います。

　また、呼吸は心の状態と連動しており、緊張状態では浅くなり、リラックスした状態では深くなります。吐く息の長い、深い呼吸を意識的に行うことにより心身がリラックスして、脳波が下がり、セロトニン、ドーパミン、アドレナリンなどといった脳内の神経伝達物質の分泌シフトにさえも影響することが医学的に知られています。

　さらに、東洋の古典的健康法である、ヨガや気功では、呼吸を極めて重要視していますが、科学以前の直感の時代には、呼吸とは、空気中の酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することではなく、空間に遍満しているとされた生命エネルギー、プラーナ、気を取り込み、全身に充実させ巡らせることにより生命力を高める健康法であり、口と鼻のみならず全身を意識して行われるものでした。それらは、ヨガの「プラーナヤーマ」、「瞑想」、気功の「吐納・導引」、「調心、調息、調身」、「小周天・大周天」などの言葉に表されており、前述した科学的作用をも包含しています。

　これらのことをふまえますと、ただただ呼吸を無意識にまかせて、肺だけの胸式で行っているのはもったいない、ということにもなりましょう。以下に呼吸を意識的に行い活用する方法をご紹介致します。

お腹を引き締める具体的呼吸方法

　この3つの呼吸法を行うことにより、ふだんは呼吸にあまり関係していない腹部が呼吸と連動して動くようになり、続けているうちに無意識でも、より深い呼吸が出来るようになりますし、やはりあまり動かしていない体幹部のインナーマッスルのトレーニングにもなっていますので、お腹を引き締め、消費エネルギーを高める効果が期待できます。さらに、（1）では、横隔膜の上下運動による内臓マッサージによる血流促進効果、（2）では、脳下垂体視床下部、松果体を刺激し活性化させる効果、（3）では、下垂した内臓を上げ戻す効果なども期待できますね。ぜひ試してみて下さい！