54. 熱中症を予防して、快適な運動を！ | やってみよう健康運動 | セルフメディケーション・ネット

長阪裕子（セルフメディケーション推進協議会会員）

54. 熱中症を予防して、快適な運動を！

　近年、私たちの生活は自然災害に振り回されているかのように思います。地震や津波、竜巻や大粒のヒョウなど、自然の猛威、強力なパワーに驚かされます。自然災害に合われた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

　また、私たちの身体は気温の変化にも振り回されています。急に暑くなった日は、だるさや疲れを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。暑い環境で体温を調節するには、慣れ（暑熱順化）が必要です。実は、この暑熱順化がされていない夏前など、急に蒸し暑くなった日などは、熱中症などの事故が起こりやすいので、運動をするにも注意が必要です。

熱中症の予防に、運動前には暑さ指数を確認しよう！

　日頃、ウォーキングなど外で運動をされている方は、暑い日の運動はどうなさっていますか？　熱中症を恐れて不活動になる方、頑張って暑熱環境で運動してしまう方、さまざまだろうと思います。

　実は、熱中症の発生には、気温だけでなく、湿度や風速（風通し）、幅射熱（直射日光）などが関係します。同じ気温でも、日陰や風通しの良いところだと涼しく感じますし、直射日光のあたる炎天下で風がないととても暑く感じます。後者の方が、WBGT（湿球黒球温度）と呼ばれる暑さ指数が高く、熱中症のリスクが高いです。WBGTは厚生労働省から熱中症の予防対策に用いるよう勧められている指標で、乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します。最近では簡易に測定できる機器が家電量販店などでも販売されるようになりました。

　WBGTを用いて、日本体育協会から熱中症予防のための運動指針、厚生労働省から作業者に対する熱中症予防の指針が発表されていますので、これからの時期、出かける前に確認することをおすすめします。しかしながら、WBGTの測定は未だ一般的ではありませんので、環境省の熱中症予防情報サイトで、地域毎の「暑さ指数」を確認してから出かけるのも良いですね。さらに、ウォーキングをされる方は、できるだけ風通しの良い日陰のコースを選ぶのも手です。

水分補給を忘れずに！

　皆さんは運動の前中後に水分補給をしていますか？汗をかかないから飲まないとか、のどが乾いたら飲むのではなく、20～30分毎にコップ1杯程度水分を摂ることが勧められています。ご高齢になるほど、のどの渇きのサインが鈍くなったり、トイレの回数が増えることを懸念して水分補給をされない方もいますので、ゲートボールなど集団で運動する場合には、仲間同士で声を掛け合ったり、時間を決めてこまめに水分補給をするとよいです。

　また、汗をかくと水と同時に塩分も失われるので、食塩水や糖質が含まれたスポーツドリンクなどが推奨されることもありますが、高血圧や糖尿病などに罹患している人は血圧や血糖を上げてしまうことがあるので注意が必要です。一般的には、日常の食生活でも塩分や糖分を補っていますので、激しいスポーツ活動でない場合には、水やお茶などでも十分でしょう。ただし、腎症など水分摂取制限のある方などもいますので、生活習慣病に罹患している方は主治医や看護師、管理栄養士などに相談してみてください。

　痩せるために運動をしている人は、運動したからと言ってスポーツドリンクを飲まれると、せっかく消費したエネルギー以上にエネルギーを摂取してしまう可能性がありますので、商品の成分表示などで熱量などをよく確認してくださいね。

2012年06月掲載