セルフメディケーションを実践のための200テーマ

村田正弘(セルフメディケーション推進協議会専務理事)

9. 一般用医薬品の選び方、使い方(5) 虫さされ・虫よけの薬
 7月に入っても梅雨が空ける気配がありません。でも、もうすぐ夏がきます。海に山に絶好の季節です。野外キャンプや花火見物と楽しいことがたくさんありますが、悩みは蚊や蜂などの虫さされでしょう。肌の弱い人にとってはほんとに困った問題です。そうかといって、殺虫剤を撒きすぎると環境汚染につながります。

 虫にさされたり、接触することによって起こるかゆみやはれの原因は、刺激や虫がもつ成分によって起こるアレルギー反応です。蜂毒にはポリペプチド系やその他高い毒性があり、さそりやクモ、特に最近報告もある外来種には生命を脅かす毒素を持つものがありますから注意しないといけません。セルフメディケーションでは軽い虫さされや応急手当を想定していますから、はれがひどいときや熱をもつような場合は、すぐに皮膚科の医師に診てもらいましょう。
虫さされ用薬の特徴
 蚊やブヨ、ノミなど血を吸う昆虫にかまれるとそのときの唾液によって刺激を受けて体内の細胞からヒスタミンという物質が分泌され、炎症反応が起こります。かゆみがもっとも典型的な現象ですから、このかゆみを抑える抗ヒスタミン薬があります。かぜ藥や花粉症に使われる成分と同じですが、外用薬に含まれる量は局所作用に適した量ですから、眠くなるようなことはありません。抗ヒスタミン薬以外ではクロタミトンのようなかゆみを抑える成分を配合しているものもあります。

 また、痛みやかゆみを感じさせなくなるように局所麻酔薬、リドカインやジブカインが多くの場合配合されています。これも麻酔といっても軽い、一過性ですから副作用を心配することはありません。刺された場所は清潔にした方がいいのは当然で、殺菌消毒のためアルコール分なども入っていますが、効果はそれほどではないでしょう。それより、刺されたところを冷水で洗いながしたり、冷たいタオルで拭く方が合理的です。

 メントールははっか、カンファー(カンフル)はしょうのうの成分で清涼感によってかゆみを紛らわすという効果です。  さて、の後半にはステロイド抗炎症薬を含む製品が並んでいます。ステロイドは強力な抗炎症効果があります。ステロイドは使い方によって非常に効果があり、外用で局所的に使うのをこわがることはありません。しかし、むやみに使うのはさけた方がいいでしょう。毒虫や毒蛾などにやられたと思ったときは、これらを含む製品がお勧めですが、通常の虫さされはまず抗ヒスタミン系で様子をみてください。
どのように藥を選ぶか
 刺されたりしてかゆかったら、まず洗うこと、汚れや汗がとれて気持ちよくなります。その後で、抗ヒスタミン薬を含む製品を塗ります。課外スクールなどで使用するには、スプレー式のものも役立ちます。はれがひどい場合はステロイドを含む製品を使うのがよいと思いますが、先にもいったように症状がひどいときは早めに医師に診てもらってください。夏の家庭にはステロイドを含むものと含まないものと2種類を用意しておくとよいでしょう。
刺される前に使う薬
 虫にさされる前に、皮膚にぬって虫を寄せ付けない予防薬もあります。いずれもディートという成分が含まれています。キャンプで夕方食事の用意をするときなど便利ですが、頻繁に使うことや小さいお子さんにはあまり勧めたくありません。使用上の注意をよく読んでください。

虫さされに使う主な薬一覧  注:“-”は「該当なし」
抗ヒスタミン薬ステロイド抗炎症薬かゆみ止め/殺菌消毒局所麻酔その他製品名販売会社剤形
----アンモニアアンモニア水健栄製薬液剤
塩酸イソベンジル--塩酸ジブカインメントール・カンファーイーメンクリーム大正製薬クリーム
マレイン酸クロルフェニラミン--塩酸ジブカインメントールイーメンつぶ入り大正製薬軟膏
塩酸ジフェンヒドラミン---バンテノール液体ムヒベビー池田模範堂液剤
ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファー・グリチルレチン酸カアムKクリームS小林薬品工業クリーム
クロルフェニラミン---メントール・カンファー・ペルカミンバーゼカユドメリンゾル湧永製薬軟膏
ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファーカユピタクール小林製薬エアゾル
ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファー・グリチルレチン酸キンカンクールスプレー金冠堂エアゾル
ジフェンヒドラミン-イソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・アンモニア水ジュラールゼリア新薬軟膏
塩酸ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファー新ウナコーワクール興和液剤
塩酸ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファー新ウナコーワクール「もろこしヘッド」興和液剤
塩酸ジフェンヒドラミン---メントール・カンファーポケムヒ池田模範堂液剤
ジフェンヒドラミン-クロタミトン(かゆみ)・イソプロピルメチルフェノール(消)-グリチルレチン酸マキロンかゆみどめパッチゼファーマ硬膏パッチ
ジフェンヒドラミン--リドカインメントール・カンファーカユピタクール小林製薬エアゾル
ジフェンヒドラミン---メントール・カンファー・グリチルレチン酸ムシイチ常盤薬品工業クリーム
ジフェンヒドラミン-イソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・グリチルレチン酸ムヒS池田模範堂クリーム
ジフェンヒドラミン-イソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・グリチルレチン酸メントールムヒパチA硬膏パッチ
ジフェンヒドラミン-イソプロピルメチルフェノール(消)リドカイングリチルレチン酸二カリウム・トコフェロールメンソレータムフリディメディカルクリームAロート製薬クリーム
ジフェンヒドラミン--塩酸ジブカインメントール・カンファー・グリチルレチン酸モスフィー資生堂液剤
ジフェンヒドラミン--塩酸ジブカインメントール・カンファー・グリチルレチン酸ユースキン リカAユースキン製薬軟膏
ジフェンヒドラミン---メントール・カンファー・グリチルレチン酸、アラントインワントップ軟膏広貫堂軟膏
マレイン酸クロルフェニラミン酢酸デキサメサゾン--メントールイーメンクール大正製薬液剤
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンイソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・トウキエキス液体ムヒS池田模範堂液剤
-吉草酸酢酸プレドニゾロン---カユミックアルファクリーム三宝製薬クリーム
-吉草酸酢酸プレドニゾロン---カユミックアルファ軟膏三宝製薬軟膏
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンクロタミトン(かゆみ)・イソプロピルメチルフェノール(消)塩酸ジブカインメントール・カンファータクトプラスクリーム佐藤製薬クリーム
ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンイソプロピルメチルフェノール(消)塩酸ジブカインメントール・カンファータクトプラスゼリー佐藤製薬軟膏
ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンクロタミトン(かゆみ)・イソプロピルメチルフェノール(消)-グリチルレチン酸プロタッチミヤリサンクリーム
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンイソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・トウキエキスマキロンかゆみ止液ゼファーマ液剤
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンイイソプロピルメチルフェノール(消)-酢酸トコフェロールマキロンパッチエースゼファーマ硬膏パッチ
塩酸ジフェンヒドラミン吉草酸酢酸プレドニゾロンクロタミトン(かゆみ)・イソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・トウキエキスムヒアルファEX池田模範堂クリーム
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンクロタミトン(かゆみ)・イソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・トウキエキスムヒアルファS池田模範堂クリーム
塩酸ジフェンヒドラミン酢酸デキサメサゾンイイソプロピルメチルフェノール(消)-メントール・カンファー・サリチル酸メチルメモかゆみどめクールジェルエスエス製薬軟膏
2006年08月 掲載
■テーマ
1. 薬に関する仕組み
2. 薬の作用効果と副作用
3. 薬の作用 投与経路と薬の生体内運命
4. 薬の作用 用量と効果、用量と毒性の関係
5. 一般用医薬品の選び方、使い方(1) 花粉症のくすり
6. 一般用医薬品の選び方、使い方(2) 乗物酔い防止薬
7. 一般用医薬品の選び方、使い方(3) 整腸薬
8. 一般用医薬品の選び方、使い方(4) 水虫の薬
9. 一般用医薬品の選び方、使い方(5) 虫さされ・虫よけの薬
10. ビタミン含有保健薬
11. 外用殺菌消毒薬
12. うがい薬
13. 解熱鎮痛薬
14. 小児用かぜ薬
15. 整腸薬と便秘薬
16. 胃の薬
17. 痔の薬
18. にきびの薬
19. 更年期障害の薬
20. 目薬(1) 目が赤くなったり、かゆい時
21. 目薬(2) 洗眼とドライアイ
22. 目薬(3) 一般点眼薬
23. うおのめ、いぼ、たこの薬
24. 口腔内殺菌薬
25. 口内炎の薬
26. 歯痛や歯槽膿漏の薬
27. 乾燥性皮膚用薬
28. 発毛・養毛薬
29. 高コレステロール薬
30. 催眠・催眠鎮静薬
31. 眠気防止薬