セルフメディケーションを実践のための200テーマ

村田正弘(セルフメディケーション推進協議会専務理事)

10. ビタミン含有保健薬

 暑い盛りですね。今月はズバリ「栄養ドリンク」についてのべましょう。キャップを捻って、グィッと飲むと見る見る力がついて岩壁を登りきったり、バットに快音を残して白球は外野スタンドに消えていく・・・テレビコマーシャルはイメージとして最高です。つい元気が出るように思えますが、この“薬”としての意味はなんでしょうか。

栄養ドリンク剤の位置付けと効果

 一般用医薬品としては、「滋養強壮保健薬」に分類されるもので、成分は栄養素―中でもビタミンが主体です。エネルギー源となる糖質、たん白質、脂肪を壜の中に凝縮することは無理なので、食物でとった成分を効率よくエネルギーに転換する役割を担うビタミン類を補強するのが目的です。本来はビタミン類も食物から摂取し、不足しがちなものを補うために「ビタミン剤」と栄養機能食品などのサプリメントがあります。医薬品としてのビタミン剤には不足を補う他にB12のように大量を投与して神経痛等に効くことを目的に錠剤やカプセルが多く販売されています。

 さて、この項の下図に取り上げたビタミン含有保健薬は、ビタミンB群を主体に、生薬成分などを加えたものです。ほとんどが1日量を“30-100mLの内用液剤”としていて、「栄養ドリンク」と通称されています。(付表では、液剤のみを掲載しました)ビタミン類の効果はわかったとして、生薬成分はどんな効果があるのでしょう。これは難問です。含有されている生薬成分は、古来漢方成分などとして伝承されているものが主ですが、“植物由来”のものと“動物由来”のものと、あるいは両者を含有するものがあります。正直、ローヤルゼリーなども迷いましたが動物由来としました。また、生薬成分といってもエキスまたはチンキと記載されているので、産地や「有効成分含量」は不明です。

 効能をみますと、「滋養強壮。虚弱体質。そして肉体疲労時、・・・・・の場合の栄養補給。」とあり、順序などに若干違いはありますが、全ての製品で同じです。成分や量による違いは少なくとも認められていません。

どのように薬を選ぶか

 まずは、下部にある付表をご覧ください。こんなにあるのかと驚かれたでしょう。選ぶのもひと苦労ですね。まず、今回1本が希望小売価格として1200円(実際の買値で1000円)以上のものは外しました。中には、1本6000円以上という超高価のものもありましたが、信奉される方にお任せしましょう。価格は1本あたりA (400円台以下)、B (500-800円台)、C (900-1200円位)と分けました。

 含有成分ではカフェインの有無によって分けました。カフェインは中枢興奮刺激作用があり、コーヒーやお茶にも含まれていて、眠気さましの効果があります。ただ、カフェインをさけている方には含まないものや低含量のものがよいでしょう。次にビタミン類ですが、製品によって差がありますが、それが効き目に影響するかとなるとわかりません。凡例にあげた標準量は食物からも摂取すると考えての製品含量の目安ですから、入っていないまた少ないからどうだとはいえません。多いからといっても、薬としての許可範囲内ですし、ビタミンE以外は水溶性なので過剰にとっても蓄積による危険性はありません。

 タウリンは一種のアミノ酸ですが、食物の分解成分として役立つといわれます。他のアミノ酸や製品によっては魚等の加水分解物を成分として入れていますが、主体はアミノ酸でしょう。大量にみえても、普通の食事で摂取する量に較べたら少ないですから、効果、副作用とも準じて考えればいいでしょう。生薬成分については、信じる以外ないといえます。副作用については量や過去の実績から心配はないでしょう。

「栄養ドリンク」を使うにあたっての注意点

 カフェインについては選び方で述べましたが、もうひとつアルコールについて述べておきます。「栄養ドリンク」の大部分にはエタノールが含まれています。一部の生薬成分などを抽出し、液剤として溶解するためでしょう。最高で1.8mL、大抵は1mL 以下。お酒でおちょこ半分、ビールで小コップ1/5以下ですから普通の方には心配する量ではありません。お子さま用の製品などには含まれていません。病弱な方や高齢の方が使用される際は、エタノール含量に気をつけてください。

 「栄養ドリンク」は効能に示すように、滋養強壮と肉体疲労の場合などの栄養補給です。いいかえれば、夏バテしていて元気を快復しようとセルフメディケーションのきっかけになります。コマーシャルも元気の素と割り切って考えれば、イメージや心理効果を含め、病気のような状態に到るのを防ぎます。しかし、あくまで栄養補給ですからこれだけで栄養管理をしようとしても無理ですし、2本以上のんでも駄目です。食事と睡眠をしっかりとって暑い夏を乗り切ってください。

【凡例】各成分の含有量の目安
ビタミン類の標準量
ビタミンB1(チアミン): 5 - 10 mg
ビタミンB2(リポフラビン): 5 - 10 mg
ナイアシン : 15 - 30 mg
ビタミンB6 (ピリドキシン): 10 - 20 mg
ビタミンE : 5 - 10 mg
タウリン標準量 : 500 - 1000 mg
カルニチン標準量 : 100 mg
◎ : 標準以上 ○ : 標準範囲内 △ : 標準以下 ― : 含有しない
【凡例】生薬成分の含有の目安
◇ : 植物由来成分1種以上
◆ : 動物由来成分1種以上
量 1本(1瓶)当たりの容量(ml)
価格A 100〜400円台
価格B 500〜800円台
価格C 800〜1200円台

ビタミン含有保健薬一覧表〜カフェインを含まないもの

B12B2ナイアシンB6Eタウリンカルニチン生薬成分他の成分製 品 名販売会社名価格
◇◆若甦アクティ内服液日東薬品工業50C
◇◆若甦ノンカフェ内服液G日東薬品工業30B
◇◆コンドロイチン・バンテノールユンケル黄帝液DCF佐藤製薬30C
アスパラエース田辺製薬50B
アルフェB-in大正製薬50A
エーベル大正製薬30A
グルクロノラクトン・B12グロンサンスタディライオン50A
◇◆肝臓加水分解物コンクレバンゴールド日水製薬30B
肝臓加水分解物サンレバン内服液日水製薬30A
慈愛内服液ミヤリサン30A
小児用じゃっこう内服液日東薬品工業30A
オロチン酸、B12新グロンビターD常盤薬品工業100A
肝臓加水分解物・コンドロイチン硫酸新ヘパリーゼドリンクゼリア新薬50A
スズレックスDX内服液?ホーユー30A
◇◆オロト酸コリンセバホルンゴールドAカネボウ薬品30A
◇◆セピードリンクゼリア新薬30A
◇◆セピー内服液ゼリア新薬30A
◇◆コンドロイチン硫酸ゼリアスV10ゼリア新薬50C
◇◆ドックマンビガー全薬工業30C
絨毛組織加水分解物ドルタック液スノーデン20C
ハイアップ内服液ゼファーマ30A
ハイアンプルエース内服液エスエス製薬30B
ハイトスD佐藤製薬50A
ヒストミン内服液小林薬品工業30A
重酒石酸コリンビタオパーゼS佐藤製薬30A
◇◆ビタックスGO興和30A
ベリコデ内服液三宝製薬30A
ボガロン湧永製薬30A
ユンケルジュニア佐藤製薬50A
オロチン酸コリン・バンテノール・Caリコリス「ゼンヤク」小児用全薬工業20A
リチンエース内服液エスエス製薬30B
CaリポビタンJr大正製薬50A

ビタミン含有保健薬一覧表〜カフェイン含量の少ないもの:40mg/1本以下

B12B2ナイアシンB6Eタウリンカルニチン生薬成分他の成分製 品 名販売会社名価格
◇◆DADAエストロングエスエス製薬50B
◇◆エスモンドリンク常盤薬品工業30C
◇◆肝臓加水分解物コンセルロイヤル日水製薬50C
B12・イノシトールハイトス12佐藤製薬100A
◇◆ユースゲンキングエスエス製薬30C
◇◆ユースゲンキング50エスエス製薬50C
◇◆イノシトールリポビタンゴールド大正製薬50A
アスコルビン酸レバンローヤルF日水製薬100A
肝臓加水分解物・バントテノール・イノシトールレバンローヤルG日水製薬100A
◇◆DADAロンピンDエスエス製薬50B

ビタミン含有保健薬一覧表〜カフェインを含むもの:50mg/1本(標準)

B12B2ナイアシンB6Eタウリンカルニチン生薬成分他の成分製 品 名販売会社名価格
◇◆エストロングSエスエス製薬50C
◇◆クエン酸鉄エスカップキングエスエス製薬50A
玉龍参蒜D常盤薬品工業50B
◇◆玉龍参仙ドリンク常盤薬品工業100B
オキソアミジンキングホルンアクセル日本製薬工業100A
グルクロノラクトン・イノシトールグロンサン強力内服液ライオン30A
グルクロノラクトン・イノシトールグロンサンゴールドライオン50A
グルクロノラクトン・イノシトールグロンサンDXライオン50A
グルクロノラクトングロンサン内服液ライオン20A
◇◆グルクロノラクトングロンサンレッドライオン50A
アミノ酸類サインエース内服液小林薬品工業50B
◇◆γ-オリザノールサースモン煌樹ジェーピーエス30C
◇◆新ハイゼリーSNゼリア新薬50C
◇◆新ヘルサンソフトBゼリア新薬100A
◇◆コンドロイチン硫酸新ローヤルゼロントBゼリア新薬100A
コンドロイチン硫酸新ローヤルゼロントSLゼリア新薬100A
◇◆チオビタゴールド大鵬薬品30A
◇◆チオビタゴールド2000大鵬薬品50A
◇◆チオビタゴールド1000大鵬薬品100A
オキソアミジンハイクタンエース50ツムラ50C
◇◆バンテノール・コンドロイチン硫酸・B12ハイゼリーゼリア新薬30C
◇◆バンテノール・コンドロイチン硫酸・B12ハイゼリーBゼリア新薬100B
◇◆Caビタシーロイヤル2000常盤薬品工業100A
◇◆ビッラックスD常盤薬品工業100A
◇◆ヒューゴユンケル佐藤製薬50A
◇◆ファンテユンケルゴールド佐藤製薬100A
◇◆ホルユニーバーモント小林薬品工業100A
オキソアミジンミオDコーワ70α興和70A
オキソアミジンミオDコーワ100α興和50B
ユニーD2000エスエス製薬100A
イノシトールユニーD3000エスエス製薬100A
イノシトールユニーD1500エスエス製薬100A
◇◆γ-オリザノール・コンドロイチン・B12ユンケル黄帝L佐藤製薬30C
◇◆γ-オリザノール・B12ユンケル黄帝L佐藤製薬30C
◇◆コンドロイチン硫酸・B12・バンテノールユンケル黄帝液佐藤製薬30C
◇◆コンドロイチン硫酸・B12・パンテノールユンケル黄帝液40佐藤製薬40C
◇◆γ-オリザノール・バンテノール・B12ユンケルスーパー黄帝液?佐藤製薬50C
◇◆コンドロイチン硫酸・B12・パンテノールユンケルハーバル黄帝液佐藤製薬30C
◇◆ラブビタン50常盤薬品工業50B
◇◆オキソアミジンリポサロン50常盤薬品工業50B
◇◆リポサロンD常盤薬品工業100A
イノシトールリポビタンD?大正製薬100A
イノシトールリポビタンDロイヤル大正製薬100B
◇◆イノシトールリポビタンGX大正製薬50A
◇◆イノシトールリポビタンゴールド?大正製薬50A
◇◆ルックスD常盤薬品工業50A
◇◆ローヤルユニーK小林薬品工業50C
◇◆ローヤルユニーエースK小林薬品工業50C
◇◆CaアルフェEX大正製薬50A
◇◆B12エスファイトゴールド内服液エスエス製薬50B
◇◆活蔘28明治製菓50C
◇◆玉龍ローヤルD常盤薬品工業50C
◇◆グルクロノラクトン・イノシトールグロンサンリアルライオン50C
◇◆イノシトールグロンビターデラックスK常盤薬品工業100B
◇◆昴内服液ゼファーマ30B
◇◆肝臓加水分解物コンセルバイタル日水製薬50A
◇◆イノシトール・パンテノール・グルクロノラクトン他サチ・ゴールド・デラックス健栄製薬100A
◇◆サモンビガー?大正製薬50B
アルギニンサンリキソZ3000廣貫堂100A
◇◆サンリラックスカネボウ薬品100A
◇◆グルクロノラクトン蔘黄内服液V-50廣貫堂50B
◇◆ゼナF-?大正製薬50B
◇◆ゼナF-?大正製薬50C
◇◆ゼナF-?α大正製薬50C
ゼナ シャイン大正製薬50C
◇◆ゼナ ジンジャー大正製薬50C
コンドロイチン硫酸ゼリアスV5ゼリア新薬50B
◇◆ナンパオ源気田辺製薬50C
絨毛組織加水分解物パワーファイト液スノーデン30B
◇◆ファイトローヤル廣貫堂30A
絨毛組織加水分解物プラセントップ液スノーデン30C
オキソアミジンブルマインS三宝製薬50B
◇◆イノシトールベストアップD三宝製薬100C
◇◆オキソアミジンミオDコーワ200興和50C
リゲインR第一三共ヘルスケア50A
◇◆ローゼリーゴールド内服液ライオン30B
イノシトールロン三宝内服液三宝製薬30A

2006年09月 掲載
■テーマ
1. 薬に関する仕組み
2. 薬の作用効果と副作用
3. 薬の作用 投与経路と薬の生体内運命
4. 薬の作用 用量と効果、用量と毒性の関係
5. 一般用医薬品の選び方、使い方(1) 花粉症のくすり
6. 一般用医薬品の選び方、使い方(2) 乗物酔い防止薬
7. 一般用医薬品の選び方、使い方(3) 整腸薬
8. 一般用医薬品の選び方、使い方(4) 水虫の薬
9. 一般用医薬品の選び方、使い方(5) 虫さされ・虫よけの薬
10. ビタミン含有保健薬
11. 外用殺菌消毒薬
12. うがい薬
13. 解熱鎮痛薬
14. 小児用かぜ薬
15. 整腸薬と便秘薬
16. 胃の薬
17. 痔の薬
18. にきびの薬
19. 更年期障害の薬
20. 目薬(1) 目が赤くなったり、かゆい時
21. 目薬(2) 洗眼とドライアイ
22. 目薬(3) 一般点眼薬
23. うおのめ、いぼ、たこの薬
24. 口腔内殺菌薬
25. 口内炎の薬
26. 歯痛や歯槽膿漏の薬
27. 乾燥性皮膚用薬
28. 発毛・養毛薬
29. 高コレステロール薬
30. 催眠・催眠鎮静薬
31. 眠気防止薬