セルフメディケーションを実践のための200テーマ

村田正弘(セルフメディケーション推進協議会専務理事)

18. にきびの薬
nikib.JPG  春は芽吹き時、これから新緑がまぶしい季節を迎えます。しかし、顔にできる吹き出物は困りますね。「にきび」は青春のシンボルなどといわれても、若い当人にとっては深刻な問題です。「にきび」は皮膚から分泌される脂が毛穴の出口付近にたまり、そこにブドウ球菌などの細菌が繁殖して化膿する症状です。

 脂の漏出にはアンドロゲンという男性ホルモンが関与していて、思春期にはこのホルモン分泌が活発になります。皮膚を清潔にといっても、これからの季節は汗もかきますし、ほこりも多いので注意だけでは無理なこともあります。OTCには治療に役立つものがありますから、使って少しでも快適に青春を過ごしてください。

にきび治療薬の成分は何か

 今述べたように、「にきび」は顔面の皮膚の炎症ですから、原因となる皮脂の漏出を防ぐ作用、皮膚表面の殺菌・消毒、炎症の緩和など対症療法に役立つ成分を主体としています。

 古くから使われているのはイオウです。イオウには還元作用があり、これが殺菌効果となります。さらに、「にきび」の症状として皮膚が角質化しますが、この角質化を防ぐ作用もあります。イオウは固体ですが、粒子が細かいほど効果がよいといわれ、コロイド状にするなど製剤上の工夫がされています。

 殺菌成分としてはアルコールやフェノール系の薬剤が使われています。なるべく刺激が少なく、殺菌効果が高いものを選んでいます。炎症を抑える成分としてはグリチルレチンや新しい成分としてはイブプロフェンピコノールがスイッチOTCとして登場しています。イブプロフェンはかぜ薬や鎮痛消炎薬に配合されているもので、これを溶解型にしたものです。

薬の選び方と注意

 薬の成分について知ったならば、自分の症状とあわせて選べると思います。剤形として液状のものと軟膏・クリームがあります。先に説明したように、イオウはそのままでは水中で懸濁しますから、乾くと粉末が残るので軟膏やクリームとして使うものが多いのです。

 薬を使えば、「にきび」は全てなおるわけではありません。洗顔など皮膚のこまめな手入れも必要ですが、栄養バランス特に野菜類の摂取によってビタミン類の補給と便通をよくしてください。

 まれにではありますが、薬をつけたらかえってひどくなったという報告もあります。「にきび」がひどいということ自体、皮膚が弱い、あるいは過敏ということですから、薬による過敏反応も想定して、その場合は止めて皮膚科を受診しましょう。

 「にきび」治療についてもうひとつ大事な注意をあげておきます。医薬品以外に健康食品や化粧品などでも宣伝しているものがあります。天然から抽出とか画期的製法とかうたっていますが、よく注意してください。適切なビタミン量の補給が補助的効果になるとしても、医薬品以上の「有効性と安全性」が保証されているものはありません。

 また、欧米ではビタミンAの誘導体が治療薬として認可されています。この薬には胎児への発がん性が認められていて、日本では承認されていません。外国でも使用には厳重な監視体制がとられています。万一、不法な手段を介して、入手するような勧誘を受けても拒否してください、危険な薬剤が関しなしのまま出回ることは社会に危害が及ぶことを留意してください。

にきび治療薬
角質軟化・抗菌成分抗菌成分その他の成分製品名販売会社剤形
サリチル酸エタノールアクネベール佐藤製薬外液
イオウレゾルシンエスカメル佐藤製薬軟膏
イオウレゾルシングリチルレチン酸アンナザルベ・エースエスエス製薬軟膏
イオウレゾルシングリチルレチン酸
酸化亜鉛
ピンプリットN資生堂クリーム
イオウレゾルシン酢酸トコフェロール
グリチルレチン酸
メンソレータム・アクネスニキビ治療薬ロート製薬軟膏
イオウレゾルシン酢酸トコフェロール
グリチルリチン酸ジカリウム
クレアラシル H3ブーツヘルスケアクリーム
イオウレゾルシン酢酸トコフェロール
グリチルリチン酸ジカリウム
クレアラシル S3ブーツヘルスケアクリーム
イオウイソプロピルメチルフェノールグリチルリチン酸ジカリウムニキビ薬ビフナイトE小林製薬軟膏
イフプロフェンピコノールエバコースにきび薬ゼファーマクリーム
イフプロフェンピコノールフレッシング・アクネクリーム久光製薬クリーム
イフプロフェンピコノールペアアクネクリームライオンクリーム
2007年04月 掲載
■テーマ
1. 薬に関する仕組み
2. 薬の作用効果と副作用
3. 薬の作用 投与経路と薬の生体内運命
4. 薬の作用 用量と効果、用量と毒性の関係
5. 一般用医薬品の選び方、使い方(1) 花粉症のくすり
6. 一般用医薬品の選び方、使い方(2) 乗物酔い防止薬
7. 一般用医薬品の選び方、使い方(3) 整腸薬
8. 一般用医薬品の選び方、使い方(4) 水虫の薬
9. 一般用医薬品の選び方、使い方(5) 虫さされ・虫よけの薬
10. ビタミン含有保健薬
11. 外用殺菌消毒薬
12. うがい薬
13. 解熱鎮痛薬
14. 小児用かぜ薬
15. 整腸薬と便秘薬
16. 胃の薬
17. 痔の薬
18. にきびの薬
19. 更年期障害の薬
20. 目薬(1) 目が赤くなったり、かゆい時
21. 目薬(2) 洗眼とドライアイ
22. 目薬(3) 一般点眼薬
23. うおのめ、いぼ、たこの薬
24. 口腔内殺菌薬
25. 口内炎の薬
26. 歯痛や歯槽膿漏の薬
27. 乾燥性皮膚用薬
28. 発毛・養毛薬
29. 高コレステロール薬
30. 催眠・催眠鎮静薬
31. 眠気防止薬