セルフメディケーション・オピニオン

「私から見たセルフメディケーション」
―幸せな人生にセルフメディケーションは必須―

福田千晶先生

福田千晶

認定NPO・SMAC 理事
医学博士・健康科学アドバイザー

 セルフメディケーションと言う言葉の範疇や意味のとらえ方は、その人その人によって多少は異なります。
 医療機関での治療の一環であっても自ら行う食事療法や運動療法などはセルフメディケーションの一つと考える人もいます。「いや、それは医療であるから、セルフ・・・ではない」という意見もあるはずです。市販薬を用いての症状改善、サプリメントや健康食品の服用や摂取、健康を意識した食生活の継続は、セルフメディケーションと考える人が多いでしょう。
 喫煙や飲酒を辞めたり減らすことも、体を冷やさないようにする衣服の工夫、ゆったり入浴をすること、マッサージやアロマセラピー、睡眠時間の確保などもセルフメディケーションと言えるでしょう。
 ウォーキングや健康体操、ジムでのトレーニング、楽しみながら行うスポーツもセルフメディケーションと言えるでしょう。運動であってもときに関節の痛みを伴うようなジムでのストイックなトレーニングや良い成績を目指す競技スポーツになると、セルフメディケーションと呼べないかも知れません。
 その人なりのとらえ方、考え方、実践の仕方のあるセルフメディケーションですが、人生の幸せには欠かすことのできないものです。
 病気の予防、元気で長生きをするためだけではなく、毎日をより良いコンディションで気持ち良く過ごせること、これこそ一番の幸せではないでしょうか?そのために、ちょっと生活を見直してみることから始めてみませんか?
 「酒は百薬の長」と言われてきましたが、それは現在でいう「ぐい飲み」に1杯程度の酒のことだったようです。一日に何合も飲んでいるなら、まずは半分の量に減らしてみましょう。いつもはビール大瓶2本を飲んでいる人なら、1本にします。ビール1本が約250Kcalですから、毎日飲んでいる人はそれだけ減らせば、1か月で7500Kcalのエネルギーを摂らずに済むことになります。そのエネルギーは、ちょうど1Kgの脂肪を減らすために減らすべきエネルギーに相当します。つまり、毎日、ビール1本を減らすことで、計算上は1か月間で1Kgの体重が減り、さらにアルコール分解で疲労する肝臓は仕事量が減って楽になります。多量の飲酒は、肝臓のみならず膵臓、胃など他の部位のがんの原因になります。また飲酒をして眠ると、寝つきは良くても夜中にパッと目覚めてしまうこと、ありませんか?アルコールの利尿作用で尿量が増え、夜中にトイレに行きたくなります。体内では水分が不足してのどか渇き、水を飲みたくなります。そのため目覚めてしまい、睡眠は中断され、睡眠中もアルコール分解で夜通し働いた肝臓も疲れていることも相まって、翌朝は何となく疲れていて不調なのです。そんなことも考えると、節酒の意味は大きく、節酒はまさにセルフメディケーションとなるのです。
 同じように食生活でも、運動習慣でも、毎日の積み重ねは侮れません。日々の生活を見直してみると、ちょっと注意したり変えたりすると良いことが見つかるでしょう。長年の生活習慣をがらりと変えることは、なかなか難しいのが現実です。ちょっとした工夫や留意でも、続けていけば、より健康になれたり、気持ち良く過ごせたりできるはずです。
 セルフメディケーションとして、積極的に何かお行うほどの関心がない人も、小さな注意を始めてみませんか?続けてみませんか?
 心地よく不安の少ない人生、そんなハッピーライフに一歩近づけることでしょう。

(資料1)
  ビール大瓶1本  約250Kcal
 
  毎日2本飲んでいた人が1本に減らすと
    毎日 250Kcal が節約できる
    30日で7500Kcal
  これは脂肪1Kgを減らすエネルギー
  つまり1か月後には1Kg減量(計算上)
     2か月後には 2Kg減量

(資料2)
  セルフメディケーションは
  まず、始めてみよう
  そして、続けてみよう

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2015年02月 更新