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村田正弘(セルフメディケーション推進協議会 専務理事)
3. セルフメディケーションを推進する環境を! [環境整備]
 セルフメディケーションが必要なことがわかり、なるほど自分にも国にも利益になると理解してもなかなか思うようにはかどらないのはなぜでしょうか。現代の複雑化した社会では、流れに掉さすようなことをひとりで行おうとしてもなかなかうまくいきません。あまりに便利すぎるのかも知れませんし、情報も豊富すぎてどれを選択したらよいのか迷ってしまいます。

 セルフといっても、「自分勝手」「自己流」ということではありません。医療では感覚的ではなく、しっかりとした科学的根拠に基づいた診断と治療が基本で、自分の健康管理に対しても全く同じ姿勢が必要です。科学的根拠などと大げさにいわないまでも、古くから伝えられ受け継がれてきたものや、地域に残されている生活習慣の中には合理的で、貴重なことがたくさんあります。これらの財産が、都市生活や核家族化によって失われつつあるのは残念です。おばあちゃんの生活の知恵を伝える場所がなくなり、相談する人が身近にいなくて不安という訴えが増えています。セルフメディケーションを普及させ、定着するための環境を整える必要があります。

 まず、第一は生活者自身の自覚です。過去の日本の医療は、職能としては医師、施設としては大病院を頂点としたピラミッド型の構造で、患者は医師の指示どおりに従うものとされていました。最近になって、インフォームド・コンセントという概念が導入され、患者へ十分な説明をして、理解された上で同意を得て医療行為を実施するように変ってきました。医療も医師の他に、看護師、薬剤師その他医療関連の専門技術者が連携したチーム医療が主流になっています。医療は患者を中心に行われるという当然の形ができたのですから、健康管理や未病に対しても主役の生活者が主体性をもたなければなりません。

 次に必要なのは、このような強い意志をもった人たちを支援する輪を作ることです。疾病の予防、健康の維持については医療や保健に関する専門的な知識と技能が必要な場合があります。医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、栄養士、さらに運動療法やその他伝統的療法の指導に当たる人など各領域の専門家の適切な助言や指導がほしいのです。この専門家や団体が連携して生活者を取巻く水平型の仕組みをつくり、実践が円滑になるよう支援できるのが理想です。

 さらに、実践の段階になると、役に立つ製品、器具、施設などが必要になります。しかし、メーカーの商品説明だけでは不足とか、信用がないといった声もあり、事実消費者センターなどには苦情が寄せられています。情報は本来製造・販売者と消費者の双方向性が維持されなければなりません。そのためには監視を含む情報システムの構築と生活者が気軽に相談できる場所を設定する必要があります。

 この3つが整うと実践者はもちろん、社会全体がセルフメディケーションのうまみを賞味できる環境が整います。SMACは2番目の支援の輪をつくることを中心に環境整備に取り組んでいます。
2005年01月 掲載