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村田正弘(セルフメディケーション推進協議会 専務理事)
5. セルフメディケーションで治す外傷 [実践(2)]

 前回はセルフメディケーションの具体的な実践として「胃が重い」という症状をとりあげ、生活改善や症状を緩和して病気までにいかないように未然に防ぐやり方を示しました。症状のどこまでを未病とするかは、判断する人によって違いはありますが、ひとりで考えず薬局などで相談しましょう。

 今回は、外傷―「けが」や「やけど」を例にとりあげてみます。外傷は明らかになんらかの外からの要因によって突然身体が傷つく現象ですから未病とは言えないかもしれません。「あかぎれ」や「ひび」などは体質的な潜在原因を取除くことや皮膚を清潔に保つことによって防ぐことができます。「けが」や「やけど」も重度の場合は生命の危険につながりますから、緊急医療(救命救急)の領域です。しかし、日常に頻繁に発生する外傷に対して全てをお医者さま頼みでは困ります。また、発生時の応急処置の適否が、後の治り方に大きく影響しますから基本的な知識と処置の仕方は心得ていてほしいと思います。

 「きず」には刺し傷、切り傷、かすり傷などがありますが、いずれも尖ったもの、刃物、あるいはこれに似たものによって皮膚の表面が損傷し、血管が破れて出血する、さらに末梢神経を刺激し痛みを感じる状態をいいます。まず、傷面にガラス片や「くぎ」などが入ったまま、あるいは取除けない状態ならば、出血を抑えて医療機関をすぐに受診しましょう。そうでないならば、まず傷面を水道水で洗います。洗面器などに水を貯めるのではなく、流水で洗い流します。時間は傷面がきれいになるまで数秒からせいぜい20〜30秒でしょう。その後ガーゼ付の傷テープ(バンドエイドなど)で覆います。手当ての基本は細菌による感染を防ぎ傷面の修復(生命回復力)を待つことです。抗生物質などの抗菌剤は殺菌作用があり、感染治療には有効ですが、まだ感染も起こしていない状態で一般の方が使用する必要はありません。

 「やけど」も思わぬことでおきます。てんぷらの油がはねたり、熱いなべに触れたり瞬間的なことで起こります。まず冷水で冷やします。清潔な流水があればよいのですが、それよりも「早く」です。手ならば、近くの洗いおけでも直ぐつけます。顔面や背中などつけにくい場所ならば手近にある布を冷水につけ当てます。「やけど」は温度とさらされた時間に比例し、回復はそれに対応しますから十分に時間をかけます。軽い場合はそのままか、ワセリンなどを基剤とした刺激性のない油性製剤を塗り包帯で覆います。損傷が大きいときや指輪や衣服がとれないような状態なら、医療機関にすぐ連絡して受診しましょう。「やけど」の中で、カイロなどを長時間あてた場合の「低温やけど」は外見はそれほどに見えず、またヒリヒリする程度でも組織の損傷が大きい場合があり、瘢痕(傷跡)が残ることがあるので皮膚科受診を勧めます。特に小さいお子さんの場合、保護者の方はご注意ください。

 「きず」の中には、虫さされ動物による噛み傷があります。この場合は、傷口から化学物質{毒物}が体内に入っている危険性があるので、原則的には医療機関を受診し、かまれた状態を正確に医師に伝えて指示にしたがいましょう。ただし、これからの季節、ハイキングやキャンプでの虫さされはかゆみ止め(抗ヒスタミン薬)局所麻酔薬消毒用アルコールなどを含む一般用医薬品で症状を緩和できます。また、予め皮膚に塗っておいて虫がこないようにする薬もありますから便利です。

 最後に大切な注意をひとつ、傷テープや油性軟膏消毒用アルコール脱脂綿包帯などは家庭救急箱常備品です。時期をきめて中身を点検し、補充しておいてください。24時間オープンの販売場所が近くにあったとしても、「けが」や「やけど」をしてから駆けつけるなどできるわけがないでしょう。
2005年03月 掲載