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村田正弘(セルフメディケーション推進協議会 専務理事)
7. セルフチェックとセルフケア

 3回にわたって典型的な具合の悪い症状をとりあげて、大衆薬を中心に使って治す実践方法を説明しましたので、セルフメディケーションが役立つことが実感して頂けたと思います。身体の症状変化は多彩ですし、年齢や状況もひとつひとつ違うので全てここで詳しく述べることはできません。それは、参考書を読んだり薬局などでご相談して頂くとして、あらためて基本的なことを申し上げます。

 メディケーションとは「治療」という意味ですが、「治療」に先立って自分の身体の状態を正しく知ることがとても大事です。これをセルフチェックといいます。身体状態というと「検査」と思いがちですが、器械装置や試薬などを使う「検査」の前に、人間の五感や日常生活のリズムを大事にしたいものです。皮膚の色艶や爪の形・色などは身体内の変化を反映するといわれ、漢方や伝統医療では有力な診断法に位置付けています。いま全ての方にこれを会得しなさいというつもりはありません。朝起きたとき、鏡の中の顔色を自分自身で観察することをお勧めします。また、便や尿の回数や様子も健康の指標として役立ちます。

 おかしいなと異常に気づき、相談して検査を受ければ、早期の手当てができるのです。一緒に生活している家族が協力するといいですね。五感だけでは心もとない、あるいはより正確に測定するのが「検査器械・器具」ですが、家庭でも測定できるものが登場しています。体重計や体脂肪計は肥満度をチェックできます。体温計も必需品でしょう。血圧測定器も市販されています。店頭に装置を置いて自由に測れるような薬局もありますが、薬剤師が測定すると法に抵触するので自分で行わなければなりません。

 血圧は環境や心理的影響で変動が大きく、病院で先生が測定すると血圧が高めに出る「白衣高血圧」と呼ばれる症状も認められているのです。家庭に装置を置いて定時測定し記録すると、日内変動を含め正確なデータがとれます。さらに、最近は簡単な血糖測定器や尿などの検査も可能になっています。得た数値がどのような意味があるかは医師や薬剤師に説明してもらってください。定期的に実施される健康診断のデータも活用するのは当然です。将来に診療所や薬局が連携してセルフチェックデータを健康手帳やお薬手帳に記載するシステムができたら、情報の共有が可能となり効率的な健康維持ができるでしょう。

 セルフチェックができたら、健康状態を是正するためのプログラムを作成し実行する必要があります。日本では悪かった場合は「医療機関を受診する」という選択肢がありますが、未病状態や健康状態がまあまあの場合、悪化予防や健康維持のための選択肢があいまいなのです。確かに症状の改善はセルフメディケーションがありますが、病気でない状態で医薬品を使用して治療というのはちょっと抵抗があります。自分の健康状態に応じて生活者がセルフケアを実践するのが理想的ではないでしょうか。まず、考えられるのは生活改善でしょう。食―栄養バランス、睡眠・休養・運動スポーツ等により生活リズムを修正しようという選択肢はどうでしょうか。SMACはこの領域に専門家が連携して相談に応じる輪を構築しようとしています。
2005年05月 掲載