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村田正弘(セルフメディケーション推進協議会 専務理事)
11. 代替医療
 セルフメディケーションを広義にとらえるのが、当協議会の基本的スタンスです。今まで紹介できなかった代替医療について紹介し、考えを示しておきます。

 代替医療は米国のAlternative Medicineの日本語訳で、現代の主流の医学である西洋医学(この言葉は日本流です)に対する言葉で、その範疇に入らない古来から伝わる世界各地域の医療を指します。これが、伝統医学などと呼ばれる背景です。

 歴史的に漢方などの使用経験がない米国では、代替医療はヨーロッパ、中国、インド、南米など世界各地に伝わる医療行為としてその存在を知り内容が紹介されると「新しい医療」と新鮮に受取られたようです。

 現代医療は疾病を病因に求め、病理解析によって因果関係を明白にし、その病因を除去することによって治療するのが基本です。これに対し、多くの代替医療は、疾病を機能障害により身体、精神的能力が低下したため生活力が下降した状態ととらえます。自然治癒力の活性化によって回復を目指します。現代医学でカバーし難い疾病や、回復期や健康維持に役立つとして相補・代替医療補完医療などと呼ぶ人もいます。セルフメディケーションの概念と共通するので、手技や方法として取入れる場合や逆に今まで慣用していた療法が代替医療として脚光を浴びるという交錯があります。

 日本で代表されるのは漢方がその典型でしょう。明治時代に西洋医学がとってかわるまで、日本の医療の主流でした。多くの生薬の組合せによる処方を患者の個々の証にあわせ適用するという療法は伝統による実績と信頼度は高いといえます。セルフメディケーションに適用するメリットは大きいのですが、自己診断や安易な宣伝による衝動的使用はさけてください。証の診断は専門性と経験を要します。元来乾燥裁断した生薬を煎じるという方法をとる漢方は、原料や煎じ方によって効果に差が生じます。医師や薬剤師のアドバイスを受けて使用するなら補完医療として役立つでしょう。

 生薬きのこ類を健康維持に活用するのは、中国以外でも欧州、東南アジア、インド、南米各地で伝承されてきたのは事実でしょう。中にはその国で医薬品として認可されているものもあります。しかし、概してどのように使用されていたかについては、正確な情報は得にくいのも事実です。効果や製剤化についての情報が確実なのか検証する必要があります。

 温泉でゆったりと湯につかるのは血液の循環をよくし、健康に役立ちそうですが血圧の高い方など要注意ですから持病がある方は、かかりつけの医師の指導を受けてください。温泉に含まれる電解質は効果をうたわれていますが、詳細はわかりません。皮膚からこれらのイオン類は吸収されます。類似した砂湯や海藻を使うタラソテラピー、粘土を使うクレイテラピーなども皮膚に接触または吸着した微量元素の効用をうたっていますが、個々の情報を確かめてください。

 成分などの直接作用というより、心理的効果をうたう療法があります。音楽療法はリラクゼーションミュージクによる静穏効果を目的としていて、神経系疾患の治療成績の報告があります。アロマテラピーは「香を炊く」という日本にも類似した形態が伝わっていますが、精油成分の芳香による刺激が脳に伝わり、内分泌ホルモンが放出され、代謝活性が起こると考えられています。どの系統の香がどのような活性化につながるか研究が続いています。ハーブテラピーとも通じるところがあります。

 運動によって健康を保つという流れは世界各地にあります。インドを源流とするヨガ、中国の太極拳などに注目が集っています。気功は中国の養生法のひとつですが、呼吸法によって自然治癒力を高めるといわれます。スポーツクラブの中には、メニューやプログラムに組み入れて専門の指導者による指導を行っているところがあります。

 ホメオパシーはドイツで生まれた「伝統医学」で、イギリスなどヨーロッパで普及しています。カウンセリングと独特のレメディという希釈液を使います。アユルヴェーダチベット医学は5000年を超える歴史があり、共通して哲学的、宗教的概念が伴います。真贋がわかりにくいので、安易な気持ちで実践するのは注意してください。

 代替医療における考えと現代医療の考えを統合したホリスティック医学を提唱する医師がいます。統合医学、ホリスティック医学については名称や概念について、種々論議が続いています。セルフメディケーションを行う生活者の立場に立って、SMACは各々の提唱者、推進者の考えと実践を注目していきます。
2005年09月 掲載